株式投資で得た収入は、給与所得ではなく譲渡所得や配当所得として扱われるため、無職でも一定の収入があると自治体に支払う国民健康保険料は非常に高額になるケースがあります。この記事では、株式収入で生活する人が国保料を軽減するための手段として「合同会社の設立」が有効かどうかについて解説します。
国民健康保険料の計算とその仕組み
国民健康保険料は、基本的に「前年の所得」を基準に自治体ごとに計算されます。株式の譲渡益や配当金も課税所得に含まれるため、給与収入がゼロでも保険料は高額になることがあります。
例えば、株式投資で400万円の利益があると、所得割と均等割、平等割、資産割を合算した結果、年額40万円以上の保険料になる自治体も珍しくありません。
合同会社を設立することで節税できるのか
合同会社を設立し、その法人で投資管理や関連業務を行う形を取れば、個人ではなく法人の所得として分離できる可能性があります。法人が得た利益には法人税が課税されますが、個人の国民健康保険料計算の対象外になります。
さらに、法人から役員報酬として月額数万円程度の低額を支給し、健康保険組合(協会けんぽなど)に加入すれば、国保よりも安い保険料で済むケースがあります。
実例:年間400万円の収入を法人化した場合
仮に投資で得た利益を合同会社で受け取り、役員報酬を月額5万円とすると、年間報酬は60万円になります。協会けんぽの健康保険料率を約10%と仮定すれば、年間保険料は約6万円に抑えられます。
一方、同じ400万円の収入を個人で得ていた場合、国民健康保険料は40~50万円になることもあるため、大きな差となります。
注意点:会社設立に伴う費用や管理の手間
法人を設立するには、登記費用(約6万円)や会計・税務処理のコストがかかります。毎年の決算書類の作成、法人税の申告なども必要になるため、節税効果と手間のバランスを検討しましょう。
税理士に相談しながらスキームを組むことで、最適な形をとることが可能です。
配偶者や扶養家族の有無も影響する
健康保険の保険料だけでなく、扶養家族がいる場合の保険料の取り扱いや、住民税の計算にも影響が出るため、世帯単位での戦略も必要です。法人役員になることで、配偶者を扶養に入れる選択肢も広がります。
まとめ:合同会社の設立で国保料圧縮は可能だが計画的に
株式投資を主な収入源としている無職の方が、国民健康保険料の負担を軽減したい場合、合同会社の設立は一つの有力な選択肢です。法人化によって収入の一部を法人所得に分離し、自身には最低限の役員報酬を設定することで、保険料と税金の両面でメリットが期待できます。
ただし、法人化には初期費用や事務手続きが伴いますので、実行にあたっては税理士などの専門家に相談するのが確実です。
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