公的年金の受給額をシミュレーターで確認した際に、「いくつかの期間で別々に試算したら合計金額が大きくなった」という経験をされた方は少なくありません。この記事では、公的年金シミュレーションの結果の読み方や、年金額がどのように計算されるのかについてわかりやすく解説します。
公的年金は「合算」ではなく「通算」で計算される
公的年金の受給額は、複数の就労期間を合計して1つの金額として算出されます。そのため、例えばある期間だけで151万円、別の期間だけで97万円といったシミュレーション結果が出ても、単純に「151万円+97万円=248万円」にはなりません。
これは、年金額が各年の収入と保険料納付状況に基づいて積み上げられる仕組みであり、試算の条件を分割した場合にそれぞれの額が部分的な年金額を反映しているだけだからです。
シミュレーターで条件を分けると誤解が生じる理由
例えば「23歳〜51歳まで年収625万円の厚生年金加入」で151万円、「51歳以降を年収120万円で64歳まで就労」とすると97万円と出た場合、それぞれは個別期間の年金額ですが、これらは重複していない前提ですでに通算された結果であることが多く、合計にはなりません。
年金機構の「ねんきんネット」や公的シミュレーターでは、収入の推移を含めた一貫した就労歴として入力すれば、正しい総額が表示されます。
正しい年金額を把握するためのポイント
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分割して試算しない:就労歴・収入を1つのシナリオとしてまとめて入力しましょう。
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「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用:実際の記録をもとに正確な年金見込み額が確認できます。
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年金事務所で相談:不明点や将来の計画を踏まえてアドバイスをもらうのも有効です。
実例で理解する:合計額と通算額の違い
仮に、以下のような2つの条件で試算したとします。
期間 | 条件 | 試算年金額 |
---|---|---|
23〜51歳 | 厚生年金・年収625万円 | 151万円 |
52〜64歳 | 厚生年金・年収120万円 | 97万円 |
このような試算では、151万円は前半の期間だけでの年金額、97万円は後半の期間を含んだ年金額と考えるのが自然です。従って、最終的な受給額は97万円に前半分も含まれているか、あるいはその逆で、両者を単純に足し算するのは誤りとなります。
将来の年金受給に備えるには
公的年金だけに頼らず、個人年金保険やiDeCo、つみたてNISAなどの自助努力も大切です。また、保険料の納付状況が将来の年金に大きく影響するため、未納期間や空白期間がないかも定期的に確認しましょう。
まとめ:シミュレーション結果は正しく解釈しよう
年金シミュレーターでの結果は、期間ごとの「部分的な見込み額」を示すにすぎず、単純な合算では正しい総額になりません。就労期間や収入履歴を通算して1つのプランで試算することで、より正確な年金額を把握できます。
不安な場合は、ねんきんネットの活用や年金事務所での無料相談も検討してみてください。
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