不妊治療など高額な医療が続くとき、高額療養費制度は家計の負担を軽くする重要な制度です。しかし、限度額適用認定証を使用した場合に「限度額を超える支払いは戻るのか?」「先に支払った分はどうなるのか?」と疑問に感じることも多いようです。本記事では、月内に複数の診療を受けた場合や先進医療を併用した場合の支払いの扱いについて、わかりやすく解説します。
高額療養費制度の基本と限度額適用認定証
高額療養費制度とは、1カ月あたりの自己負担限度額を超えた分が払い戻される制度です。所得や年齢によって限度額は異なり、たとえば住民税非課税世帯であれば月額35,400円、一般所得者であれば57,600円などが上限の目安です。
限度額適用認定証を病院で提示していれば、その月の窓口支払いが原則として上限内に抑えられます。これにより、立て替え払いの必要がなくなり、負担が軽減されます。
診療が複数回に分かれた場合の扱い
制度上、同じ月内であれば、すべての診療費を合算して限度額の適用対象となります。たとえば、6月に5回通院して合計2万円支払い、6月末に採卵で限度額57,600円に達した場合、通院時の2万円も含めた全体で限度額を超えているかが判断されます。
ただし、限度額適用認定証を提示していない日があると、その日の自己負担は通常通り支払いが発生します。これらは一時的に支払っていたとしても、後から高額療養費の申請を行うことで払い戻される可能性があります。
先進医療費は対象外なので要注意
高額療養費制度は、健康保険が適用される医療費のみが対象です。たとえば、採卵時の先進医療で支払った87,000円は制度の適用対象外であるため、全額自己負担となり戻ってきません。
これは制度の大きな注意点で、限度額を超えた分が必ずしもすべて戻ってくるわけではないことを理解しておく必要があります。
自己負担が戻ってくるパターンとは
限度額適用認定証を提示していなかった場合でも、高額療養費の対象月内であれば、加入している保険者に申請すれば払い戻しを受けられることがあります。
今回のように、6月に複数回受診し2万円を既に支払い、さらに月末に限度額を超えて支払った場合、申請により2万円の一部または全部が還付される可能性があります。詳細は各保険者(協会けんぽ、健保組合、市町村国保など)に確認しましょう。
払い戻しを受けるための申請方法
払い戻しを受けるには、医療機関の領収書と診療明細を保管し、加入する健康保険に「高額療養費支給申請書」を提出します。
また、オンライン資格確認を利用している医療機関では、マイナンバーカードに記録された情報をもとに自動的に限度額が適用される場合もあります。とはいえ、制度の適用対象とならない医療費もあるため、自分での確認は欠かせません。
まとめ:限度額の仕組みを理解して損のない手続きを
高額療養費制度は、月内の医療費が限度額を超えたときに適用され、申請すれば超過分が還付される制度です。ただし、先進医療など健康保険適用外の費用は戻りません。また、限度額認定証を提示していない分についても、申請によって払い戻しが受けられる可能性があります。
不明点がある場合は、加入する健康保険組合や市区町村の窓口に早めに相談し、損をしないよう確実に手続きを進めましょう。
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