「精神障害者の平均寿命が短い」という情報から、「年金を払っても意味がないのでは」「老後の準備は不要なのでは」と感じる方もいるかもしれません。しかし、実際には制度面・生活設計の観点からも、早期からの備えが無駄になることはありません。本記事では、精神疾患と寿命に関する実情、年金の追納の意味、そして将来の安心のためにできる選択について解説します。
精神障害者の寿命は本当に短いのか?統計の読み方に注意
厚生労働省の調査などによれば、重度の精神疾患を抱える方の平均寿命が健常者と比べて短い傾向にあるのは事実です。しかし、これは「全体的な傾向」であり、個人の寿命を断定するものではありません。
実際には、医療や生活支援が整っている人は高齢期まで安定して生活しているケースも多くあります。精神疾患の種類や重症度、生活習慣や支援体制によって、健康寿命は大きく異なるのです。
「どうせ長生きできないから準備は無駄」と考えるのではなく、「もしかしたら思った以上に長く生きるかもしれない」という前提で備えることが、将来の自分を守る鍵になります。
国民年金の追納制度とは?老後だけでなく障害年金にも影響
国民年金の免除期間がある場合、後から保険料を支払う「追納」が可能です。追納によって将来の年金額を増やすことができるほか、障害年金の受給資格にも関わることがあります。
特に精神疾患などの理由で障害年金を受ける可能性がある場合、保険料の納付要件(初診日の前の一定期間に納付済であること)を満たすために、追納が有効になるケースがあります。
また、老齢年金の支給開始年齢に達したとき、過去の免除期間のままだと支給額が大きく減ってしまう可能性があるため、「将来の自分への備え」としても追納は選択肢になります。
追納はいつでもできる?メリットと注意点
追納は原則として「過去10年以内の免除期間」が対象で、時効を過ぎた分は支払えなくなります。追納を希望する場合、市区町村の年金窓口または年金事務所で申請が必要です。
なお、追納する際には、当時の免除額に加えて加算金(利息のようなもの)がかかることがあります。特に3年以上前の期間は加算金が高くなるため、できるだけ早めに判断することが望ましいです。
「一括で支払うのが難しい」という場合でも、分割納付の相談が可能です。
精神障害と向き合いながら人生を設計するということ
精神障害があることで将来への不安が大きくなるのは自然なことですが、それでも人生は続いていきます。年金制度のような公的サポートは、そうした不確実な未来に対して備える「土台」となります。
障害年金、生活保護、地域生活支援センター、就労支援など、多様な支援を組み合わせることで、自立的な生活を送っている人も少なくありません。
寿命の長さにかかわらず、「今の自分がどう生きたいか」「将来どうありたいか」を考え、必要な制度を選んでいくことが大切です。
まとめ:寿命ではなく、「生き方」に備えるという考え方
精神障害があるからといって、将来の備えを諦める必要はありません。たとえ平均寿命が短いという統計があったとしても、それは「個人の未来」を決めるものではないからです。
国民年金の追納は、老後の年金だけでなく、障害年金の受給権にも関わる重要な制度です。「無駄かもしれない」と思うよりも、「後で困らないようにしておく」という視点で判断することが、安心して生きていく土台となるでしょう。
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