高齢の親の預金を引き出す際に注意すべき法律と銀行対応のポイント

貯金

高齢の親の預金管理を任されるケースは少なくありません。特に意識障害や認知症が進んでくると、現金の引き出しや生活費の支払いなどを家族が代わりに行うことになります。しかし、銀行側も不正防止の観点から一定の監視体制を敷いており、連日の高額出金は確認の対象となる可能性があります。この記事では、そうした状況に直面した際に知っておくべき対応とリスクを解説します。

銀行はなぜ連日の出金に反応するのか?

金融機関はマネーロンダリングや詐欺防止のために、一定額以上の出金や異常な取引パターンがあればアラートを発する仕組みを採用しています。特に高齢者の口座で50万円以上の出金が複数回続くと、「振り込め詐欺の可能性」や「第三者による不正使用」が疑われ、銀行が本人確認や事実確認のための連絡を行うことがあります。

したがって、毎日50万円をATMから引き出していると、ある時点で銀行からの確認連絡が行われる可能性は高まります。

本人に連絡が取れないときの銀行対応

もし銀行が口座名義人本人に連絡を試みても連絡がつかない場合、口座が一時的にロックされることもあります。これは不正利用のリスクを未然に防ぐための措置です。たとえ家族であっても、委任状や後見制度などの法的根拠がない場合、銀行は情報を開示したり、手続きに応じたりすることができません。

つまり「暗証番号を知っているから引き出せる」という状態でも、連日の高額引き出しが続けば、それは「正当な利用か否か」を銀行が判断するトリガーになるのです。

親族が代理で預金を管理するには何が必要?

高齢の親の代わりに金融手続きを行いたい場合、以下のいずれかの対応が必要になります。

  • 銀行指定の委任状と本人確認書類(原則は元気な状態での署名が必要)
  • 成年後見制度を利用して、家庭裁判所からの後見人選任
  • 信託契約(家族信託)による事前の資産管理設定

このように、法的手続きを経ていないまま預金を使う行為は、トラブルの火種になり得ます。特に相続発生後に他の親族との間で疑念を招くリスクもあるため注意が必要です。

口座凍結のリスクも考慮する

もし、口座名義人が亡くなった場合、銀行口座は即座に凍結され、入出金ができなくなります。そのため、葬儀費用や医療費など急な支出に備えて、事前に必要額を引き出しておくという判断は一定の合理性があります。

ただしその場合も、可能であれば家族や関係者に説明をし、記録を残しておくことが重要です。

今後の対応策:弁護士相談や後見制度の活用を検討

もし継続的に資金管理を行う必要がある場合は、法テラスなどの無料法律相談を利用して、家庭裁判所への申し立てや、家族信託など法的な準備を進めるのがベストです。

また、銀行にも状況を正直に説明し、必要であれば書面で説明を提出することで、不正と誤認されるリスクを減らすことができます。

まとめ:自己判断での出金は慎重に行うべき

高齢者の資金管理を代行するのは非常に責任ある行為です。たとえ本人の同意があり暗証番号を知っていたとしても、連日の高額引き出しは銀行の監視対象となる可能性があるため、事前に法的手続きを整えるか、銀行に説明しておくことが望ましいです。

万が一トラブルにならないためにも、透明性と記録を重視し、周囲と連携しながら対応を進めていきましょう。

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