旧帝大などの国立大学でキャリアを積み重ねた教授陣は、社会的な地位や専門性において高い評価を得る存在です。しかし、実際の老後資金や年金額は意外と現実的な水準であることも少なくありません。本記事では、国立大学教授が定年退職後に受け取る年金額の目安や、老後の生活実態について、実例を交えて解説します。
国立大学教授の給与と退職金の仕組み
国立大学教員は「国立大学法人職員」として、国家公務員に準じた給与体系が適用されます。教授の年収は概ね900〜1,200万円前後であり、研究費や著作による収入がある場合もあります。
退職金については、平均で2,000万円〜2,500万円程度が見込まれます。ただし、勤続年数や昇進スピードにより上下します。私立大学に比べると、安定的ではある一方で、給与水準や昇給率は比較的抑えられているのが実情です。
年金制度:共済年金から厚生年金へ
2015年10月までは「共済年金」が適用されていましたが、現在は「厚生年金」に統合されています。したがって、旧共済組(教員含む)は「経過的加算」を含んだ年金を受け取る仕組みです。
国立大学教授が65歳以降に受け取る年金は、概ね年額200〜250万円台(平均して月16〜21万円)程度と見込まれています。これは現役時代の給与水準から想像するよりも、控えめな印象を受けるかもしれません。
「専門家=裕福」とは限らない理由
世間的には「教授=高収入・高資産」と思われがちですが、実際にはそうとも限りません。特に研究畑一筋の方々は、商業的成功を追わないことも多く、住居や生活水準において質素で堅実な選択をしていることがあります。
例えば、京都大学の某著名教授(分野の第一人者)も、長年アパート暮らしを続けているという実例があります。このようなケースでは、住宅購入よりも研究や教育への投資を優先した結果とも考えられます。
副収入や資産形成がカギに
年金のみで豊かな老後を送るには限界があります。多くの教授陣は、以下のような副収入や資産形成で補完しています。
- 講演料・書籍印税
- 大学退職後の非常勤講師契約
- 資産運用(株・不動産・退職金の運用)
- 研究機関や民間企業との顧問契約
とはいえ、これらの収入が安定して入るとは限らず、特に公的年金に依存する割合が高い方は生活設計が慎重になる傾向にあります。
大学教授の老後資金を支える制度と選択肢
旧共済年金加入者には「職域加算」があった時代もあり、現在でも経過的加算として残っています。また、退職後も公的保険や私的年金制度(確定拠出年金など)を利用することで備えは可能です。
重要なのは、退職後の生活設計を現役時代から始めておくこと。特に持ち家の有無や家賃負担の有無は、生活に大きな影響を与えます。
まとめ:知の第一人者の暮らしは質素で堅実
旧帝大の教授といえども、年金生活は想像以上に堅実です。社会的評価や専門的実績が必ずしも経済的豊かさに直結しないのは、研究者という職業の特性ゆえでしょう。
現実を正しく理解し、現役時代から資産形成や老後の備えに目を向けることが重要です。これから教職を志す方や、教育関係者の将来設計の参考となれば幸いです。
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