会社から支給される通勤手当は、給与と同様に標準報酬月額の対象となるため、社会保険料に影響を及ぼします。特に6ヶ月分の定期券代をまとめて支給された場合、その月の報酬が一時的に大きくなるため、注意が必要です。
標準報酬月額とは何か?
標準報酬月額とは、健康保険や厚生年金保険などの社会保険料を計算するための基準額で、基本的には「月々の報酬の平均」に基づいて設定されます。対象となる報酬には、基本給のほかに、通勤手当・家族手当・残業手当なども含まれます。
そのため、定期券代などの通勤手当が月によって大きく変動する場合でも、基本的には支給された月の合計額がそのまま対象になります。
通勤手当はどのように扱われるのか?
6ヶ月分の定期代を一括支給した場合でも、その支給月の報酬とみなされ、その金額をもとに標準報酬月額が計算されます。
例えば6月に通勤手当12万円(2万円×6ヶ月)が支給された場合、それが6月の報酬とみなされ、その月の報酬額が増加します。結果として6月~8月に実施される定時決定で保険料が増加する可能性があります。
定時決定と報酬月額の計算
標準報酬月額の決定には「定時決定」という制度があり、毎年4月・5月・6月の3ヶ月の報酬平均額をもとに等級が決まります。この3ヶ月間の報酬に、臨時的な要素が含まれていると、本来より高い等級が設定されてしまうこともあるのです。
たとえば、4月と5月は通勤手当がゼロ、6月だけ12万円支給されていると、平均月額は約4万円(12万円÷3)加算されます。これにより、社会保険料の等級が一段階以上上がる可能性が出てきます。
保険料を抑えるための通勤手当の支給方法
定期代を一括で支給するより、毎月定額で支給されるように会社へ依頼する方法もあります。月額で通勤手当を支給してもらえば、月ごとの報酬の変動を抑えられ、標準報酬月額も安定します。
会社によっては通勤手当を一括支給とする方針の場合もあるため、そのようなルールがあれば、給与規程を確認した上で人事部へ相談してみましょう。
実際の節税効果は?
仮に6月の報酬が12万円多くなったことにより、等級が1段階上がったとします。等級が上がることで、年間で1〜2万円ほど保険料が増えるケースもあります。
これを防ぐためには、先述のとおり通勤手当を月額で支給する運用や、支給時期を4~6月以外にするなどの工夫が有効です。
まとめ:報酬の構成が保険料に影響する
定期代の一括支給が標準報酬月額に与える影響は意外と大きく、特に4〜6月に集中すると保険料負担増に直結します。毎月の安定した支給や、支給時期の見直しによって、保険料を適正にコントロールすることが可能です。
知らずに損をしないためにも、給与の構成とそのタイミングに注意を払いましょう。
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