70歳以上被用者の算定基礎届は誰に必要?75歳以上の役員の場合は?

社会保険

毎年7月に提出する「算定基礎届」は、厚生年金・健康保険に加入するすべての被保険者が対象です。しかし、70歳以上、特に75歳を超える役員などの場合、該当するのか判断に迷う場面もあるのではないでしょうか。本記事では、「70歳以上被用者算定基礎届」の提出要否について、制度の概要とともに丁寧に解説します。

70歳以上被用者算定基礎届とは?

70歳になると厚生年金保険の被保険者資格は喪失しますが、報酬に応じて「70歳以上被用者」として標準報酬月額が設定されます。そのため、70歳以上で働き続ける方も、年1回の「70歳以上被用者算定基礎届」を提出しなければなりません。

対象者は、以下の条件を満たす人です。

  • 70歳以上
  • 厚生年金に加入歴がある(70歳になるまでは被保険者だった)
  • 現在も会社に在籍し報酬を受け取っている

75歳以上でも届出が必要なケース

75歳になると健康保険も後期高齢者医療制度へ移行し、健康保険の被保険者資格も失います。ですが、厚生年金制度における「70歳以上被用者」としては継続して報酬月額の報告が求められるため、75歳を超えても届出が必要になることがあります。

つまり、厚生年金の「標準報酬月額」が管理されている限り、算定基礎届を提出し続ける必要があります。

算定基礎届が不要な場合とは

一方で、届出が不要となる主なケースは以下の通りです。

  • 70歳到達前に退職しており、70歳以降に初めて就任した役員
  • 厚生年金保険に加入していない(=70歳以上被用者ではない)
  • 報酬の支払いが一切ない場合

今回のように「75歳で新たに社内取締役に就任」「厚生年金に加入していない」のであれば、そもそも70歳以上被用者ではないため、算定基礎届の提出は不要です。

役員の場合の注意点

役員報酬が支払われており、かつ厚生年金の被用者資格が継続されていれば、原則として算定基礎届は必要です。ただし、外部から招へいされた非常勤役員など、実態として労働者に該当しない場合には対象外となることもあります。

社会保険の適用判断は「実態」が重視されますので、年金事務所への確認も視野に入れておくと安心です。

算定基礎届と別の届出との違い

混同されやすいのが、「賞与支払届」や「月額変更届」といった他の報酬関連届出です。これらは対象が70歳未満の被保険者、または70歳以上被用者の一部に限られています。

例えば、70歳以上でも賞与が支払われた場合には「賞与支払届」は不要です。あくまでも、月額報酬に関する「算定基礎届」が中心となります。

まとめ:75歳以上の新任取締役には原則届出不要

70歳以上被用者算定基礎届は、厚生年金の被用者資格がある者のみが対象です。75歳以上であっても、以前から厚生年金の被用者資格が継続していれば届出が必要ですが、新たに役員に就任し厚生年金に加入していない場合は対象外です。

実務上の判断に迷う場合は、必ず年金事務所に確認し、不要な手続きを省略しつつ、必要な届出は漏れなく行うようにしましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました