家計の見直しを迫られる中で、国民年金の免除や猶予を検討する方は多いですが、「将来の年金が減るのでは?」という不安もつきものです。本記事では、特にシングルマザーや非課税世帯の方に向けて、年金免除制度の仕組みと影響について具体的に解説します。
■ 国民年金の免除と猶予の違いとは?
年金保険料の免除には「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」があり、経済状況に応じて申請できます。
また「猶予」は一時的に納付を先延ばしにする制度で、主に若年層が対象です。
免除は将来の年金額に影響し、猶予は将来納付することで満額の年金に近づけることができます。免除か猶予、どちらを選ぶかで老後の年金額に差が出ます。
■ 免除で年金額はどれだけ減る?
たとえば、1年間全額免除された場合、1年あたりの年金額は約20,000円(2025年度基準)ほど少なくなります。4分の1免除であれば約45,000円、半額免除で約30,000円、4分の3免除で約15,000円の減額です。
例えば10年間全額免除された場合は、老齢基礎年金が20万円ほど減額される可能性があります。とはいえ、未納状態よりは「一部でも免除を受けていた方が」将来の年金受給に有利になります。
■ 年金分割や専業主婦期間がある場合の影響
離婚時に年金分割制度を利用していた場合、相手の厚生年金の一部を受け取る権利があります。これは免除・猶予とは別に管理されているため、免除による年金減額とは基本的に連動しません。
また、過去に第3号被保険者(専業主婦など)だった期間は、保険料を納付していなくても受給資格期間としてカウントされ、将来の年金に反映されます。
■ 年金事務所が送ってくる通知の意味とは?
年金事務所からの「免除・猶予申請の案内」は、未納による将来の不利益を避けるための行政的な配慮です。申請しないと「単なる未納」となり、年金受給資格に影響する可能性があるため、制度を活用するよう促されています。
これは嫌がらせではなく、将来の生活設計を支えるための通知です。無視せず、活用の可否を検討することが大切です。
■ 免除を選ぶかどうかの判断基準
「免除=損」とは限りません。生活が苦しい中で無理に納付するよりも、制度を活用し、少しでも受給権を維持することが重要です。
経済的に余裕ができたタイミングで「追納」(あとから支払うこと)も可能で、その場合、将来の年金額も回復できます。
つまり「今は免除、あとで追納」が最も柔軟な選択肢とも言えるのです。
■ まとめ:免除は制度上の支援、使い方次第で将来の安心に
・免除や猶予は生活が厳しい方のための正当な制度
・免除すると年金は減るが、未納よりはるかに良い
・年金分割・第3号期間は別途反映されるため安心
・申請の有無で将来の受給に差が出る可能性がある
生活状況に応じて、免除や猶予の制度を賢く活用することで、将来への不安を減らしつつ、無理なく年金制度に参加していくことができます。
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