築年数が経過した建物を購入または相続した際、火災や水害への備えとして保険に加入するか悩む方は少なくありません。特に気になるのが、古い建物でも新築同様の補償が受けられるのか、あるいは価値が低く見積もられてしまうのかという点です。本記事では、保険金額の決まり方や注意点についてわかりやすくご説明します。
火災保険の「保険価額」は何を基準にするのか
火災保険では、補償額の基準となる「保険価額」を設定する必要があります。これは万が一建物が全壊・全焼した場合に、どの程度の保険金が支払われるかを決める重要な金額です。
保険価額は、建物の「再取得価額(再調達価額)」をベースに決定するのが一般的です。つまり、築年数に関係なく、同じ規模・構造の建物を新たに建て直すために必要な費用が目安となります。
再取得価額と時価の違いとは
ここでよく混同されるのが「時価」との違いです。時価とは、再取得価額から経年劣化などの減価分を差し引いた価額のことです。つまり、築20年の建物であれば、その価値はかなり低く見積もられる可能性があります。
しかし最近の火災保険では、実際に建て直すための費用(再取得価額)を補償するタイプが主流となっています。これにより、古い家でも保険でしっかり建て直すことが可能です。
築年数が古い建物の保険加入は難しいのか?
築年数が古い建物でも保険に加入することは可能です。ただし、保険会社によっては築年制限を設けていたり、保険金額に上限がある場合もあります。
例えば、築30年以上の木造住宅では、契約時に建物の現況を確認する調査が必要になったり、一部補償が制限されることもあります。加入を希望する際は、複数の保険会社で見積もりを比較すると良いでしょう。
実際の保険金額はどう決まる?
火災保険の契約時には、保険会社が建物の構造・延床面積・地域などをもとに再取得価額を自動で計算します。そのうえで、建物のグレードや使用材料に応じて適切な保険金額を設定する流れになります。
築20年の木造住宅(床面積100㎡)であれば、再取得価額はおおよそ1,200万円~1,500万円前後と算出されることが一般的です。この金額を上限に、契約者が自由に補償額を選べる仕組みになっています。
補償内容も要チェック!水害・風災は含まれる?
建物の火災だけでなく、台風や豪雨による風災・水害・雪災などの自然災害補償も火災保険に含めることが可能です。近年の異常気象を考えると、これらの補償は加入する価値が高いでしょう。
ただし、洪水リスクの高い地域では水害補償が付帯できない場合や、保険料が高くなるケースもあります。事前にハザードマップなどを確認し、国土交通省の防災情報サイトなども活用しましょう。
まとめ:再取得価額ベースでしっかり補償を確保しよう
築年数が経過した建物でも、火災保険では「再取得価額」をベースに保険金額を設定するのが一般的です。時価ではなく、新築時と同じ水準の補償を得られる可能性があるため、築古の物件でも安心して加入できます。
加入にあたっては、再取得価額・保険金額・補償範囲をきちんと確認し、信頼できる保険会社や代理店に相談することが大切です。
コメント