厚生年金の受給条件と「9年納付」の真実|損をしないために知っておきたい制度の仕組み

社会保険

厚生年金は老後の生活を支える大切な社会保障制度ですが、「9年しか納めていないと年金はもらえないのか?」「10年からじゃないと払い損?」といった疑問を持つ方も少なくありません。この記事では、厚生年金の受給資格や、9年納付している場合にどうすればよいかなど、実際に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

厚生年金を受け取るための最低加入期間

現在の年金制度では、老齢年金を受け取るためには原則10年以上の保険料納付期間が必要とされています。これは2017年8月の法改正により、従来の25年から大幅に短縮されたものです。

つまり、9年以下の納付期間では老齢年金を受け取ることはできません。ただし、いくつかの救済措置がありますので後述します。

9年間だけ納めていた場合は「払い損」なのか?

一見すると「9年しか納めていない=損」と思うかもしれませんが、実は救済策があります。例えば、以下のような方法で10年の要件を満たすことが可能です。

  • 国民年金の任意加入で残り1年分を納める
  • 過去の未納分を追納する
  • 合算対象期間(カラ期間)を含めて10年になる場合もある

したがって、実際には「損」と決めつける前に、自身の年金記録を確認し、あと1年をクリアできる可能性を探ることが重要です。

任意加入制度を活用する方法

60歳以上でも年金加入ができる「任意加入制度」を利用すれば、納付期間を延ばすことができます。これは、老齢年金の受給資格を得るために加入できる制度で、65歳未満であれば申し込みが可能です。

例:59歳で厚生年金の納付が9年だった場合、60歳から1年間だけ任意で国民年金に加入し、10年を満たすことで老齢基礎年金および厚生年金の受給資格を得られます。

障害年金や遺族年金は別の条件

老齢年金は原則10年ですが、障害年金や遺族年金には別の受給要件があります。例えば、障害年金は初診日の前日時点での納付要件(原則、直近1年以内に未納がないこと)がポイントになります。

したがって、「9年しか納めていない=すべて損する」というわけではなく、他の年金給付の可能性もあります。

過去の納付履歴を確認する方法

自分の納付状況を知るには、「ねんきんネット」が便利です。ID登録すれば、これまでの厚生年金・国民年金の納付期間や記録が一覧で確認できます。

ねんきんネット(日本年金機構公式サイト)を利用すれば、加入履歴や見込み額のシミュレーションも可能です。

まとめ:9年では年金はもらえないが、対策は可能

確かに現行制度では、老齢年金の受給には10年の納付期間が必要です。しかし、「9年だから払い損」とは限りません。あと1年をカバーする方法もありますし、他の年金制度(障害・遺族)に該当するケースもあります。

まずは「ねんきんネット」などで情報を確認し、不足期間があるなら早めの対策を取りましょう。年金相談センターでの無料相談も有効な手段です。

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