病気やケガによって働けなくなった場合に支給される「傷病手当金」。そして、離職後に受け取れる「失業手当」。この2つの制度の関係について、「どちらも受け取れるのか?」「どのような条件があるのか?」といった疑問を持つ方は少なくありません。本記事では、傷病手当金の満了後に失業手当を受け取ることができるのかを中心に、制度の仕組みや注意点を解説します。
傷病手当金と失業手当は併用できるの?
原則として、傷病手当金と失業手当の同時受給はできません。なぜなら、傷病手当金は「働けない状態」が前提であり、失業手当(雇用保険の基本手当)は「働ける状態」が前提だからです。
しかし、傷病手当金の支給期間(最大1年6か月)が終了し、その後に就労可能な状態に回復して退職すれば、失業手当の受給が可能になる場合があります。
傷病手当金を満額受けた後に失業手当を受給する条件
以下の条件を満たしていれば、傷病手当金の受給後に失業手当を受け取ることができます。
- 退職前の雇用保険加入期間が12か月以上ある
- 離職時点または待機期間終了後に「就労可能」である
- 離職から1年以内にハローワークで求職の申し込みを行う
たとえば、傷病手当金を受給中は退職せず、1年6か月後に体調が回復して退職、ハローワークに申請すれば、「受給期間延長制度」を使って失業手当を受け取ることが可能です。
実際の受給スケジュールの例
具体的なスケジュール例を以下に紹介します。
たとえば、2023年1月にうつ病で休職し、傷病手当金を受給(1年6か月)、2024年6月末で満了。その後、回復し2024年7月に退職。8月にハローワークで失業給付を申請。
このような流れであれば、失業手当の受給資格を満たしており、実際に支給される可能性が高いです。
「受給期間延長制度」の活用について
失業手当の申請は、離職から1年以内が原則です。ただし、病気やケガなどによりすぐに働けない場合は、「受給期間延長申請」を行うことで、最大4年間まで延長が可能です。
この申請は、退職から30日を経過した日から1か月以内に行う必要があるため、見落とさないよう注意しましょう。
就労可能とみなされるためのポイント
失業手当を受け取るには、ハローワークにおいて「就労可能」と判断される必要があります。そのためには、主治医の診断書で「就労可」と記載されたり、面談時に「働ける意思がある」と伝える必要があります。
もし病状がまだ不安定であれば、失業手当の受給は先延ばしにし、「受給期間延長制度」を活用する方が安心です。
まとめ|制度を正しく理解して計画的な申請を
傷病手当金の支給終了後でも、体調が回復していれば失業手当の申請は可能です。重要なのは、退職のタイミング・回復の状況・申請の手続きをしっかり把握することです。
また、申請時にはハローワーク職員や社会保険労務士に相談することで、状況に合ったアドバイスを受けることができます。正しい情報をもとに、安心して生活再建を目指しましょう。
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