家族がアルバイトで社会保険に加入したとき、「扶養から外れる」という通知を受け取って混乱することがあります。特に、健康保険と所得税の扶養控除の違いはわかりづらく、混同しがちです。本記事では、このようなケースで何が起きているのか、どのように対処すべきかをわかりやすく解説します。
健康保険の扶養と所得税の扶養控除は別制度
健康保険上の扶養と、所得税上の扶養控除はまったく別の制度です。健康保険の扶養は「社会保険制度」に基づいており、医療費の自己負担や保険料に関わるものです。一方、所得税の扶養控除は「税金を安くするための制度」であり、年末調整や確定申告に関係します。
そのため、健康保険の扶養から外れても、所得税の扶養控除には引き続き該当する場合があります。
社会保険加入による健康保険扶養の外れ
アルバイトであっても、一定の条件を満たすと勤務先の社会保険に加入する義務があります。主な条件は以下の通りです。
- 週の労働時間が20時間以上
- 月収が88,000円以上
- 継続的な雇用見込みが2か月以上
- 従業員数が常時101人以上の企業
これらを満たした場合、自動的に社会保険に加入し、親の健康保険扶養からは外れることになります。
所得税の扶養控除は年収103万円以下が基準
子どもが年収103万円以下(給与所得のみ)であれば、親の「所得税上の扶養控除」の対象になります。つまり、健康保険の扶養からは外れても、年末調整や確定申告で扶養控除の申告をすれば、税金は安くなる可能性があります。
ただし、103万円を超えると「所得税の扶養控除」も受けられなくなります。収入管理には十分注意が必要です。
実際にあったケース:健康保険は外れたが扶養控除は継続
例:大学生の子どもが週4日・1日5時間のアルバイトを始め、月収9万円で社会保険に加入。親の勤務先から「健康保険の扶養から外れる」と通知が来たが、年収は年間100万円程度のため、年末調整での扶養控除は継続適用された。
このように、制度の違いを理解していれば慌てる必要はありません。
手続きに必要な対応と注意点
- 健康保険の扶養を外れる場合:保険証の返却や新保険証の受け取り手続きが必要
- 所得税の扶養控除を継続する場合:年末調整や確定申告時に「扶養控除等申告書」を提出
- 親の会社への確認:健康保険と所得税の扶養が別であることを説明するのが安心です
まとめ:制度の違いを理解すれば慌てない
お子さんが社会保険に加入したことで健康保険の扶養からは外れますが、年収103万円以下であれば所得税の扶養控除は維持できます。健康保険と税の制度は混同しがちですが、それぞれの目的と基準を理解しておけば、冷静に対応できます。
不明点がある場合は、勤務先の人事担当や税理士、または社会保険労務士に相談するのもおすすめです。
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