定時改定と随時改定の違いとは?社会保険料が変わるタイミングを正しく理解しよう

社会保険

会社員として働く上で、社会保険料の金額は毎月の手取り収入に直結する重要な要素です。保険料がいつ・どのように変わるのかを正しく知っておくことで、収入の変化にも柔軟に対応しやすくなります。本記事では「定時改定」と「随時改定」という2つの仕組みの違いや適用条件をわかりやすく解説し、特に4月〜6月の報酬に変動があった場合の判断基準を紹介します。

社会保険料は「標準報酬月額」によって決まる

健康保険や厚生年金保険などの社会保険料は、「標準報酬月額」という基準額に基づいて算出されます。この標準報酬月額は、原則として「実際の給与」をもとに年1回見直されます。

見直しの方法には2つの種類があり、それが「定時改定」と「随時改定」です。

定時改定とは:毎年7月に一斉改定される

定時改定とは、毎年7月1日時点で全被保険者を対象に行われる社会保険料の見直しです。この際に用いられるのが、4月・5月・6月の3ヶ月間に支払われた報酬の平均額です。

具体的には以下の条件を満たすと対象になります。

  • 4月〜6月のいずれも支払基礎日数が17日以上ある
  • 通勤手当や残業代などを含めた報酬に大きな変動がある

この3ヶ月の平均で算出された報酬月額が、新しい標準報酬月額となり、9月分(10月納付分)の保険料から適用されます。

随時改定とは:月額変更届による臨時の見直し

一方、随時改定(いわゆる「月変」)は、給与に大きな変動が生じたときに年1回の改定を待たずに適用される制度です。次の3つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 固定的賃金に変動がある(基本給や手当の増減など)
  • 変動後、3ヶ月間の平均報酬が2等級以上上下する
  • その3ヶ月すべてで支払基礎日数が17日以上ある

この場合、会社が「月額変更届」を提出することで、4ヶ月目の保険料から新しい標準報酬月額が適用されます。

4〜6月に報酬が減った場合はどちらが適用される?

4月〜6月の報酬が2等級以上下がったとしても、それが随時改定になるわけではありません。この期間は定時改定に使われる評価期間となるため、通常は「定時改定」が優先されます。

つまり、4月〜6月の報酬が減少し、すべて17日以上勤務(有給含む)している場合は、9月分の保険料から定時改定が適用されるのが基本です。

ただし、同期間に固定的賃金の変動(例:基本給の減額)があり、要件を満たす場合は随時改定の対象となることもありますが、定時改定と時期が重なるため、結果的には定時改定が優先される運用となります。

事例で比較:定時改定と随時改定の違い

項目 定時改定 随時改定
対象期間 毎年4〜6月 固定賃金変動後の3ヶ月間
条件 17日以上勤務×3ヶ月 固定賃金の変更+2等級変動+17日以上勤務×3ヶ月
保険料変更時期 9月から 変更月の4ヶ月目から

たとえば、5月に基本給が減額され、それにより5〜7月の報酬が下がった場合、随時改定の要件を満たせば8月から新しい保険料が適用されます。一方、4〜6月の報酬減が一時的なものであれば、定時改定に基づいて9月から保険料が見直されます。

まとめ:4〜6月の報酬変動は原則として定時改定で対応

給与の変動により標準報酬月額が大きく変わる場合、その時期や変動内容によって「定時改定」か「随時改定」かが決まります。4月〜6月に該当し、すべての月に17日以上出勤しているなら、原則として定時改定が適用されます。

ただし、固定賃金の変更があった場合などは随時改定の対象になる可能性もあるため、迷った場合は社会保険労務士や人事部門に相談すると確実です。

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