結婚式や出産祝いなどでいただいた現金を自宅に保管したまま、長期間入金せずに過ごしてしまったというケースは意外と多いものです。しかし、いざまとめて銀行に預け入れる際に「税務署に怪しまれるのでは?」「贈与税の対象になるのでは?」と不安になる方も多いでしょう。この記事では、そうした現金の入金に関する税務上のポイントや注意点をわかりやすく解説します。
ご祝儀・出産祝いは非課税になるケースが多い
結婚祝いや出産祝いは、基本的に「社会通念上相当」とされる範囲であれば、贈与税の課税対象外とされています。具体的には、結婚祝いとしてのご祝儀や出産祝いは一時的な慶事に対する贈与であるため、常識的な金額であれば課税されません。
ただし、明らかに高額(例:個人から300万円以上)だったり、資産隠しと疑われるような入金方法を取ると、税務署に注目されるリスクは高まります。
ご祝儀を数年後に入金しても違法ではない
結婚式から数年経ってからご祝儀を銀行に入金しても、それ自体が違法になることはありません。通帳にまとまった金額が一度に入っても、出所がご祝儀であることを説明できるなら問題ありません。
たとえば、入金と同時に「結婚式で受け取ったご祝儀を今さら入金」とメモしておく、入金先を「ご祝儀専用口座」にしておく、当時の祝儀袋を保管しておくといった工夫をしておくと、仮に問い合わせを受けた際にもスムーズに説明できます。
贈与税の基準は「年間110万円超」だが例外もある
一般的に贈与税の基礎控除は「年間110万円」。これを超えると税務署への申告が必要ですが、結婚祝いや出産祝いなど慶事に対する贈与は非課税枠の例外として扱われることが多いです。
ただし、以下のような場合は注意が必要です。
- 同一人物からの贈与が110万円を超えている
- 入金タイミングと名目が曖昧で、資金の出所が説明できない
- 結婚祝いや出産祝いと偽って資金移動を行っている
とくに最後のケースは、税務署からの問い合わせを受ける可能性があるため、避けるべきです。
出産祝いをご祝儀に混ぜて入金しても大丈夫?
結論としては、出産祝いをご祝儀に「便乗」させてまとめて入金するのは避けた方が安全です。理由は、税務署が「祝い金」という名目の正当性を評価する際に、「何のお祝いか」が不明確な場合、課税対象として疑われることがあるからです。
特に、結婚から数年経っていて、かつ出産も別タイミングで行われた場合は、それぞれの入金理由を明確にしておく必要があります。可能であれば、別々に入金し、それぞれの名目を通帳メモや記録に残しておきましょう。
万が一税務署に確認されたらどうする?
万が一、税務署から問い合わせが来たとしても、正直に「結婚式でいただいた祝儀です」「何年も現金で保管していたものを入金しました」と説明すれば問題になることはほぼありません。
税務署は不自然な資金移動や脱税行為に敏感ではありますが、一般的な祝い金で説明がつく内容であれば、追及されることは少ないのが現実です。
まとめ:非課税でも記録と分別入金でリスク回避を
結婚祝いや出産祝いは基本的に贈与税の課税対象にはなりませんが、入金時期や金額が大きい場合は資金の出所を説明できる準備をしておくことが大切です。
特に、複数の祝い金をまとめて入金する際には、祝いの内容ごとにメモを残す、日付を分けるなど工夫をして、税務署に対しても明確な説明ができるようにしておきましょう。
コメント