国民年金と扶養の誤解を解消:一人親方が知っておくべき配偶者の年金支払い義務

社会保険

一人親方として建設国保に加入している場合、「配偶者が扶養に入っているから国民年金の支払いは不要では?」と疑問に感じる方も少なくありません。しかし、健康保険上の「扶養」と、年金制度上の「扶養」は異なる考え方に基づいており、誤解が生じやすいポイントです。

健康保険の「扶養」と年金の「扶養」はまったく別

まず押さえておきたいのは、健康保険の扶養に入っていることが、年金の支払い義務の免除にはならないということです。たとえ建設国保で配偶者や子どもを扶養に入れていたとしても、年金制度における「第3号被保険者」には該当しません。

第3号被保険者とは、厚生年金に加入している被保険者(会社員や公務員など)に扶養されている配偶者が対象であり、自営業や一人親方が扶養している配偶者は対象外です。

一人親方の配偶者は原則「第1号被保険者」

自営業や一人親方の配偶者は、収入の有無にかかわらず「第1号被保険者」となり、国民年金の保険料を支払う義務があります。配偶者が働いていない場合であっても、年金保険料は発生します。

例えば、あなたが建設国保に加入しており、奥様が専業主婦の場合でも、毎月16,000円台(令和6年度で16,980円)の国民年金保険料を納める必要があります。

年金保険料を支払わないとどうなる?

もし国民年金の保険料を支払わなければ、将来的に年金が受け取れない可能性があります。具体的には。

  • 老齢基礎年金の受給資格を失う(10年以上の納付が必要)
  • 障害年金や遺族年金の受給にも支障が出る
  • 未納状態が長期化すると財産の差し押さえなど法的措置の対象となる

このような事態を避けるためにも、制度上の義務を理解し、正しく保険料を納めることが重要です。

収入が少ない場合の対処法:免除・猶予制度

配偶者の収入が少なく、保険料の支払いが困難な場合には、国民年金保険料の免除制度や納付猶予制度の活用が可能です。

例えば、配偶者が専業主婦で収入がほとんどない場合、本人の所得によっては「全額免除」や「一部免除」が認められるケースもあります。市区町村の役所または年金事務所で手続き可能です。

実例:一人親方Aさんの場合

一人親方のAさん(40歳)は建設国保に加入し、配偶者と子どもを扶養に入れていました。配偶者は無収入でしたが、年金保険料を納めていなかったため、年金事務所から納付通知が届き、初めて義務を知ることになりました。

相談の結果、奥様の所得に基づいて保険料免除の申請を行い、全額免除が認められたことで、将来の年金受給資格も維持されました。

まとめ:扶養に入っていても国民年金は別問題

健康保険の扶養と年金の支払い義務は異なる制度です。一人親方の配偶者は、たとえ扶養に入っていたとしても、原則として自分自身で国民年金保険料を支払う義務があります。

免除や猶予制度も用意されているため、収入状況に応じた対応が可能です。不安な場合は、最寄りの年金事務所で個別相談するのが安心です。

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