個人間の金銭消費貸借契約と贈与税の関係|利息設定のポイントと最低利率の考え方

税金

親族間や知人同士でお金を貸し借りする際、「贈与」とみなされてしまうリスクを避けるために金銭消費貸借契約書を結ぶのは一般的です。ただし、その契約内容によっては、たとえ契約を交わしていたとしても、贈与税の課税対象になることがあります。この記事では、特に利息を設定しない場合に贈与とみなされる条件や、適正な利率の設定について解説します。

無利息契約が贈与とみなされるリスク

個人間の貸し借りでは、利息を取らない「無利息契約」が多く見られます。しかし、税務署は「通常取られるはずの利息を受け取っていない=経済的利益を贈与した」とみなすことがあります。

たとえば、500万円を無利息で5年間貸した場合、本来得られるはずの利息分が贈与と判断され、「利息相当額に対して贈与税が課される」可能性があるのです。

利息の最低基準は「国税庁の定める利率」

贈与税を避けるために、契約に利息を設定するのが安全策です。ここでの基準となるのが、国税庁が毎年定めている「民間金融機関の平均貸出金利」や「財産評価基本通達上の利率(年1%程度)」です。

特に注目されるのは「特定贈与財産の評価における法定利率」で、直近ではおおよそ年0.8%〜1.0%が相場とされています。

極端に低い利率の設定は認められる?

税務上、形式的に利息が設定されていればよいというわけではありません。年0.0005%などの極端に低い利率では、実質的に「無利息」と判断される可能性があります。

国税庁の基準利率を大きく下回る設定は、「節税目的の形式的契約」とみなされて否認されることもあるため、現実的かつ妥当な利率(目安として年0.8%以上)にしておくのが無難です。

実例:親子間での貸し借り契約と利息設定

例:ある親が子に300万円を貸与。無利息での契約書を作成したところ、税務調査で「経済的利益の供与」と判断され、約3万円分の利息に相当する金額が贈与と認定されました。

その後、年1%の利率で契約し直したところ、問題視されることはなくなりました。税務署はあくまで「常識的な範囲の金利設定」を求めていることがわかります。

契約書に盛り込むべき内容

トラブルや税務上の誤解を防ぐために、金銭消費貸借契約書には以下の内容を明記しましょう。

  • 貸付金額
  • 返済期限
  • 利率(例:年1%)
  • 返済方法(例:月末に口座振込)
  • 遅延損害金の有無

これらを明文化しておくことで、税務署から「実態のない契約」と疑われるリスクが大幅に軽減されます。

まとめ:最低でも年0.8%以上の利息設定を

個人間での金銭の貸し借りでは、利息の有無とその水準が税務上重要なポイントとなります。贈与とみなされないためには、最低でも国税庁の基準利率(年0.8〜1.0%)に準じた利率を設定するのがベストです。

契約書をきちんと作成し、実態に即した利息を設定することで、不要な贈与税リスクを避けることができます。税理士などの専門家に相談するのもおすすめです。

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