年金の繰り下げと在職老齢年金の関係|月収50万円以上の人が知っておくべきポイントとは

年金

高齢になっても働き続ける人が増える中で、年金の受給タイミングをどうするかは重要なライフプランの一部です。特に、給与収入が多い人は「在職老齢年金」の制度の影響で年金の支給額が調整されることがあるため、繰り下げ受給の検討が必要になります。本記事では、年金繰り下げと在職中の年金受給のバランスについて詳しく解説します。

在職老齢年金とは?働きながら受け取る年金が減る制度

在職老齢年金とは、60歳以降に厚生年金に加入しながら給与収入がある人の年金を一部制限する制度です。65歳以上では、「年金月額」と「給与の月額」が一定の基準(2025年現在では月47万円)を超えると、超えた分の半額に相当する年金が減額されます。

たとえば給与月額が52万円、年金月額が10万円である場合、「52万円+10万円−47万円=15万円」超過。この15万円の半額、すなわち7万5000円分の年金が減額され、結果として月2万5000円しか年金が支給されません。

繰り下げ受給とは?最大84%増額できる仕組み

年金の繰り下げ受給とは、65歳から本来もらえる年金の受給開始を遅らせることにより、年金額を増やす仕組みです。1ヶ月繰り下げるごとに0.7%、最大5年間繰り下げることで最大42%(2022年4月以降の制度ではさらに70歳超えで84%)まで年金額を増額することができます。

給与が高くて在職老齢年金により減額される人にとっては、「もらえる年金が削られるくらいなら、繰り下げて満額もしくは増額された年金を将来もらう方が得」となることもあるのです。

月収52万円の人は繰り下げがおすすめ?判断基準とは

月収52万円の人は、在職老齢年金の影響で受け取れる年金額が大きく減る可能性が高いため、あえて繰り下げて年金を「寝かせる」選択肢は有力です。

繰り下げた分の年金は、将来的に受給開始したときには増額されて戻ってきます。60代後半から70代前半まで高収入が見込まれるなら、繰り下げ戦略による将来の安定的な収入確保が期待できるでしょう。

実際のシミュレーション:繰り下げ vs. 減額受給

たとえば65歳からの年金が月10万円(年120万円)とすると、働いていて7万円減額されると年金は実質年60万円に。仮に70歳まで繰り下げた場合、月14.2万円程度(42%増)にアップします。

その差は年170万円ほど。これを20年間受給すれば340万円の差になります。もちろん平均寿命や健康状態も影響しますが、「長生きするほど得になる」仕組みであることは間違いありません。

繰り下げにはデメリットもある

繰り下げには注意点もあります。たとえば、繰り下げ中に死亡した場合は年金を一切受け取れないリスクがあること。さらに医療費助成や介護保険の軽減措置など、年金受給者に適用される制度が使えなくなることもあるため、慎重な判断が必要です。

また、繰り下げた年金には課税対象額が増えることもあり、所得税や住民税が増える可能性もある点に注意が必要です。

まとめ:高収入の在職中は繰り下げも有力な選択肢

在職老齢年金により年金が減額される高収入の人にとって、繰り下げ受給は非常に合理的な選択肢です。長く働き続ける予定がある場合は、65歳以降も年金を受け取らずに将来増額された年金を受ける方が、トータルで得になる可能性が高いです。

一方で、健康状態やライフスタイルによって最適な選択は異なります。公的年金シミュレーターや社会保険労務士の相談を活用して、自分に合った受給戦略を立てましょう。

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