傷病手当金は「病気やケガによる療養中の休業」を補償する制度ですが、療養場所が病院から介護施設へ移った場合に「支給継続が可能かどうか」が不安になることがあります。この記事では、施設移動後でも傷病手当金を受け取り続けるための条件とポイントを解説します。
傷病手当金の支給要件とは?
傷病手当金は、健康保険に加入していた人が以下の条件を満たすと支給されます。
- 業務外の病気やケガによる療養中
- 労務不能で働けない状態
- 連続する3日間の待機期間のあとに労務不能が継続している
- 給与の支払いがない(もしくは減額されている)
支給期間は最長で1年6か月。この期間内であれば、施設の種類や所在地にかかわらず「医師の判断」により労務不能が認められれば支給され続けます。
施設に移ったことで“療養中”でなくなるのか?
傷病手当金の支給対象は「病院での治療」だけに限らず、自宅や老人ホーム、グループホームでの療養も含まれる可能性があります。
重要なのは、「現在も回復の見込みがある状態で、医師が“就労不能であり療養が必要”と診断しているか」です。
つまり、症状固定=治療終了と見なされる場合には、医師が療養中と認めなければ申請が難しくなる可能性があります。
医師が申請書を書かないケースは?
以下のような場合には、主治医が傷病手当金の診断書(意見書)を書いてくれないことがあります。
- 後遺障害が固定し、治療ではなく「介護」中心になっている
- すでに回復見込みがないと判断されている
- 療養の範囲を超えて生活施設への移動とみなされる
ただし、脳出血後の麻痺や認知症の進行があり、継続的な医学的管理が必要な場合には「療養中」と診断される余地があります。
申請継続に向けた実務的アドバイス
今後も傷病手当金を継続的に受けるために、以下の対応が有効です。
- 現在の主治医に「施設移動後も病状は継続し、労務不能が続いている」ことを伝える
- 介護施設の医師がいる場合、その医師にも療養継続の診断をお願いする
- 傷病手当金申請書の記載欄(医師の意見欄)で“引き続き就労不能である”と明記してもらう
認知症や麻痺が継続している場合には、症状固定ではなく、「慢性期治療・維持療養」として支給が継続される例も多くあります。
実例:療養場所が変わっても支給されたケース
例:脳出血後の片麻痺が残り、要介護2。病院退院後に老健施設→グループホームと移動。医師が「リハビリ継続中」「労務不能」と判断し、1年6か月間の支給が途切れず継続された。
このように、療養の必要性と労務不能の証明が主治医から得られれば、施設の種類に関係なく支給は可能です。
まとめ
傷病手当金は「病気の治療中かどうか」ではなく、「労務に就けない状態かつ療養中であるか」によって支給の可否が判断されます。
施設に移ることで「治療終了」と判断されないよう、主治医と密に連携し、病状の継続性と療養の必要性を文書で証明してもらうことが鍵です。
最長の1年6か月までは申請可能ですので、安心して必要なサポートを受けましょう。
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