外貨建ての生命保険、特にドル建ての終身保険は将来の資産形成や相続対策として人気ですが、一方で中途解約や払済変更を検討する方も少なくありません。この記事では、実際の保険契約を例に、解約・払済・投資の各選択肢のメリット・デメリットを比較し、適切な判断のヒントを解説します。
ドル建て終身保険の基本構造と特徴
ドル建て終身保険とは、米ドルで保険料を支払い、保険金や解約返戻金もドルで受け取るタイプの保険です。為替変動の影響を受ける反面、日本円より高い金利が期待されるという特性があります。
例えば、月額約36ドルを支払う契約では、支払い総額が大きくなる代わりに、将来的な保険金(例:3万ドル)を得られる設計となっています。
解約・払済・継続の3つの選択肢
途中で見直す場合には、主に以下の3つの選択肢が考えられます。
- ① 解約:返戻金(約1,257ドル)を受け取り、契約を終了。損失(20万円前後)が発生する。
- ② 払済保険:追加支払いをせずに、保険金額を下げて契約を継続(例:4,416ドルの保障に変更)。
- ③ 継続:60歳まで毎月支払い、当初の保障額(3万ドル)を維持。
これらの選択は、家計状況・将来設計・投資リスクへの許容度によって適切さが異なります。
払済変更のメリットとリスク
払済にすると、月々の保険料支払いが不要になり、家計への圧迫が軽減されます。一方で、保険金額は当初より大きく下がる点に注意が必要です。
現在までに支払った2,979ドルで、保障額を4,416ドルに抑えつつ「終身保障」を維持できる点は、一定の安心材料になります。特に家庭における死亡保障が夫側に集中している場合、妻側で最小限の終身保障を持つ意味はあります。
解約して投資に回す選択肢
仮にこの保険を解約し、返戻金18万円をNISAなどでの資産運用に回した場合、運用成績次第では保障以上の資産形成が可能です。たとえば、年5%のリターンで20年間運用すれば、約48万円になります。
ただし、リスクを伴う投資と、保障という目的の異なる商品を比較する際は、「何を重視するか」が重要です。死亡保障が不要で、運用に自信がある方には合理的な選択になり得ます。
子育て世帯の死亡保障の考え方
ご家庭にお子様がいる場合、妻側にも一定の保障を確保することが家族全体のリスク対策になります。メインの生活費保障は夫側に任せつつ、教育資金や葬儀費用の一部をカバーする目的で終身保険を維持するという考え方もあります。
特に医療保障・就業不能保険などを別で持っていない場合、終身保険の保障性は活用しやすいツールといえます。
まとめ:目的と優先度で選択を
ドル建て終身保険を解約するか払済にするかは、「保障の必要性」と「資産運用の目的」に応じて考えることが大切です。死亡保障を残したいなら払済、不要なら解約して資産運用へ切り替えるのも合理的です。
保険はあくまで保障の手段であり、投資は資産形成の手段です。混同せずに、目的に沿った選択を心がけましょう。
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