高齢の親を扶養控除の対象にできるかどうかは、税制上の所得要件や生計維持関係の有無に大きく左右されます。特に親が年金や家賃収入を得ている場合、扶養に入れられるかどうかの判断が難しくなります。この記事では、実際の収入事例をもとに、扶養控除の判断基準を詳しく解説します。
扶養控除の基本的な仕組みと条件
扶養控除とは、16歳以上の親族を扶養している場合に、所得税や住民税の軽減を受けられる制度です。控除対象とするには、扶養される人の「合計所得金額」が48万円以下であることが基本条件です(令和2年以降)。
合計所得金額とは、給与や年金、事業、家賃など、すべての所得から必要経費や控除を差し引いた後の金額を指します。
年金と家賃収入がある場合の所得の計算方法
公的年金は雑所得に分類され、65歳以上であれば年金収入158万円までは課税対象の所得が48万円以下になります。年金が80万円程度であれば、年金部分だけでは扶養控除の対象になれる可能性があります。
しかし、家賃収入がある場合は別です。家賃収入100万円から必要経費(例えば固定資産税、修繕費、管理費など)を差し引いた金額が不動産所得としてカウントされ、年金の雑所得と合算して判定されます。
具体例:年金80万円+家賃収入100万円のケース
例えば、年金収入80万円、家賃収入100万円の高齢者を扶養に入れたいと考えた場合。
- 年金の課税所得=0円(非課税範囲内)
- 家賃収入の所得=100万円−必要経費(仮に20万円)=80万円
この場合、合計所得は80万円となり、扶養控除の対象外となってしまいます。
「生計を一にしている」と認められるかも重要
扶養控除の適用を受けるためには、所得要件に加えて「生計を一にしている(生活費・医療費などを負担している)」という実態が必要です。これは別居していても、仕送り等の実績があれば認められます。
実際に仕送りをしている場合は、振込記録や生活費の立替えなどの記録を残しておくと、税務署からの問い合わせにも対応しやすくなります。
扶養控除の対象とならない場合の代替策
親が扶養控除の対象外となった場合でも、医療費控除や社会保険料控除など、他の制度を活用することで税負担を軽減できる可能性があります。
たとえば親の医療費を子が支払っている場合、その金額は医療費控除の対象になります。また、国民年金の保険料を子が代わりに納めている場合も、控除対象となります。
まとめ:扶養控除は「合計所得48万円以下」がカギ
親を扶養に入れるには、年金や家賃収入を含む「合計所得」が48万円以下であることが絶対条件です。年金が80万円前後でも、家賃収入によって扶養控除の対象外になる可能性があります。
収入の内訳や必要経費の計算を正しく行い、迷ったら税理士や市区町村の税務相談窓口に相談してみましょう。正しい知識と準備で、制度をしっかりと活用していくことが重要です。
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