派遣で働く中で、知らないうちに社会保険に加入されていたというトラブルに遭遇することがあります。とくに短期勤務や手続きの遅れが原因で、国民健康保険(国保)と社会保険(社保)の重複加入が起きてしまうと、保険料や医療費の支払いに不安が残る方も多いでしょう。この記事では、そのようなケースに遭遇した場合の対応方法や知っておきたいポイントを解説します。
派遣会社の社会保険加入義務と手続きの流れ
週の所定労働時間が20時間以上などの条件を満たすと、派遣先との契約期間が2ヶ月を超えた時点で原則として社会保険加入が義務化されます。これは派遣労働者を保護するためのルールです。
加入時には本人の同意は不要で、要件を満たした時点で派遣会社は手続きを進める義務があります。ただし、加入のお知らせ(資格取得通知書や保険証)を速やかに本人に伝える責任も派遣会社にあります。
「保険証が届いていない」場合の確認ポイント
社保に加入しているのに保険証や資格確認証が届かない場合、次の点を確認しましょう。
- 派遣会社が加入手続きを済ませているか
- 健康保険証は発送済みか、あるいは電子交付なのか
- 送付先住所に誤りがないか
加入証明が必要であれば、「資格取得証明書」や「健康保険資格証明書」の発行を依頼できます。
社会保険と国保の重複加入はどうなる?
社会保険にすでに加入していたにもかかわらず、事情を知らずに国保に加入してしまった場合、国保の加入を遡って取り消す手続きができます。
市区町村の役所で「社会保険に〇月〇日から加入していた」と証明できる書類(資格取得証明書など)を提出すれば、国保の加入取消・保険料返還の対応が可能です。
医療機関にはどう伝える?
国保で受診してしまった後、社保加入が確認された場合は、「受診時は国保だったが、本来は社保対象だった」と病院の窓口に説明しましょう。
その後、健康保険組合や協会けんぽに相談すれば「療養費支給申請」によって医療費の差額分が返還される場合もあります。
会社が保険料を負担してくれる?その正当性
会社が「保険料は返金せず会社が負担します」と言ってくる場合、これはトラブル対応としての会社側の配慮や補償措置である可能性が高いです。
法律上、会社が従業員分の社保料を全額負担する義務はありませんが、通知義務の不備などを理由に会社が善処した事例としてよく見られる対応です。
保険証や資格証明が届かないのは違法?
加入から1ヶ月以上経過しても保険証や資格確認証が届かない場合、派遣会社の不備と考えられます。繰り返しの連絡や、メールなど証拠を残す方法で要請しましょう。
どうしても対応が遅い場合は、労働基準監督署や年金事務所などに相談することも一つの手段です。
まとめ
社会保険の加入・未加入トラブルは派遣社員にとって混乱を招く問題ですが、正しい知識があれば対処できます。
- 社会保険加入は一定条件で自動的に行われる
- 重複した国保は後から取り消し・返金申請が可能
- 医療費の精算も適切に行えば差額が戻るケースもある
保険制度への理解を深め、トラブル時も冷静に行動することで無駄な出費や不安を防ぎましょう。
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