子どもの歯科矯正にかかった費用は、条件を満たせば医療費控除の対象になります。しかし、控除申請を誰がするのかによって、控除のハードルやメリットが異なります。この記事では、夫婦で収入が異なるケースを例に、どちらが申請すべきか、どんな仕組みで判断するのかを詳しく解説します。
医療費控除の基本:10万円または所得の5%を超えた額が対象
医療費控除は、1年間(1月〜12月)に支払った医療費が一定の金額を超える場合に、確定申告で税金の還付や軽減が受けられる制度です。対象となる金額は以下のどちらかです。
- 10万円超
- 所得金額の5%超
たとえば、所得が118万円であれば、5%にあたる59,000円を超えた分が控除対象となります。
夫婦どちらが申請すべき?収入と控除額の関係
基本的に医療費控除は、実際に医療費を支払った人が申請しますが、生計を一にしている家族の分も合算して一人が申請できます。つまり、夫婦どちらが申請してもOKですが、節税効果を最大化したい場合には次のような判断が必要です。
ポイント:
- 所得が高い人(例:年収500万の夫)の方が税率が高く、控除による税額減少のインパクトが大きい
- 所得が低い人(例:年収180万の妻)は、控除の条件を満たしやすい(5%が低い)
たとえば、年間の医療費が10万円なら、所得118万円の妻が申請すれば5万9千円を超えるため対象にできます。一方で、夫が申請すると10万円を超える必要があるため、ギリギリ対象外になることも。
給与所得控除の計算方法と控除ラインの確認
給与収入180万円の場合、給与所得控除(2023年現在の基準)62万円を引いた118万円が「所得金額」となります。そこから5%を計算すると、控除の基準額は59,000円になります。
したがって、医療費が59,000円を超えていれば控除対象になるという考え方は正しいです。
医療費の支払い者と申告者が違ってもOK?
医療費控除では「実際に支払った人」と「申告する人」が同じである必要があります。ただし、共働き夫婦で、家計が一体である場合は「家族全体で支払った医療費」を誰か一人がまとめて申告することが認められています。
つまり、医療費を誰が支払ったか曖昧でも、共通の家計から出しているなら、妻が申告することは可能です。
どのように申告するか:必要書類と準備
医療費控除の申告には、次の書類が必要になります。
- 医療費控除の明細書(国税庁HPからダウンロード可)
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
- 領収書やレシートは提出不要だが、5年間保存義務あり
- マイナンバー確認書類(番号通知カードやマイナンバーカード)
また、e-Taxを利用すれば、スマホやPCから簡単に申告できます。
まとめ|収入に応じた判断で控除を最大限活用
医療費控除は、家計に応じて夫婦のどちらかが申告者になれる柔軟な制度です。今回のように、年収が比較的少ない方でも「所得の5%」という基準を満たすことで、実際には10万円未満の医療費でも控除対象になる可能性があります。
正しく理解して、確定申告を行うことで、家計に嬉しい還付を受けましょう。特に子どもの矯正費用は高額になりやすいため、控除の活用は非常に有効です。
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