かつて「一家に一人の働き手」で家庭が成り立っていた時代がありました。現在では共働きが当たり前とされるなか、「昭和の専業主婦が多かったのはなぜか?」という疑問は、多くの人の関心を引きます。この記事では、昭和と令和の家計事情・社会構造・文化的価値観の変化からその理由を紐解いていきます。
昭和時代に専業主婦が多かった理由
昭和中期(1950〜1980年代)には、男性の就労による収入だけで一家を養えるケースが多く見られました。その背景には以下のような要素があります。
- 物価と生活コストの安さ
- 企業の終身雇用・年功序列による安定した収入
- 住宅費の低さ(家賃・住宅ローンの負担が今より軽かった)
- 「良妻賢母」思想と家事育児は女性の役割という社会通念
例として、1975年の都市部における公務員(30代)の月収はおよそ10万円程度でしたが、家賃は1〜2万円、食費も1人分が1日数百円ほど。経済全体に「1人分の収入で家族が暮らせる余地」がありました。
今の時代はなぜ共働きが前提になったのか
現代では、共働きをしなければ生活が厳しいと感じる家庭が多数派です。その理由には次のような社会的・経済的要因が関係しています。
- 実質賃金の停滞と物価の上昇
- 保育園・教育費・住宅費などの家計圧迫要因
- 女性の高学歴化と社会進出の進展
- 「共働きモデル」を前提とした制度設計(住宅ローン審査・保育園申請など)
たとえば、令和初期の平均的な都心部マンションの月額ローンは10〜15万円にもなり、1馬力では到底支払いきれない水準です。
専業主婦が成立する家庭の条件とは
現在でも「専業主婦」という形態は存在しますが、成立条件がかなり限られています。具体的には以下のような条件が必要です。
- 世帯年収800万円以上などの高収入
- 親の資産や援助がある
- 地方在住など生活費が抑えられる地域条件
- ライフスタイルや価値観として専業主婦を選択している
例として、地方在住で自営業の夫が年間1,000万円超の収入を得ており、子どもがいない家庭などでは専業主婦の生活が現実的です。
時代とともに変わる「家庭像」
昭和では「夫が働き、妻が家庭を守る」が主流でしたが、今は「家庭内の役割は柔軟に分担する」時代です。女性の社会的活躍が推奨され、男性の育児休暇取得も徐々に広がっています。
また、パート・フリーランス・リモートワークなど多様な働き方が可能になったことで、「完全な専業主婦」でなくとも家計に貢献する方法が増えました。
まとめ:専業主婦が多かったのは“時代の構造”が理由
昭和に専業主婦が多かったのは、単に物価が安かったからではなく、社会制度・価値観・経済構造がそれを支えていたからです。
一方、現代では共働きが前提となる家庭が多数で、それを支える制度・文化も整いつつあります。過去を懐かしむだけでなく、今の時代に合った「無理のない家族のかたち」を模索することが大切です。
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