一時払い終身保険は、まとまった資金を活用して将来の保障や相続対策を図る手段として注目されています。しかし、利回りの良さばかりに目を奪われると、思わぬ落とし穴がある場合も。本記事では、一時払い終身保険のメリットとデメリットをバランスよく解説し、納得のいく選択をするための判断材料を提供します。
一時払い終身保険とは?
一時払い終身保険とは、契約時に一括で保険料を支払い、生涯にわたって保障が続く保険です。途中解約も可能で、解約返戻金は運用益とともに戻るため、資産運用や相続対策、節税目的でも利用されることがあります。
たとえば、500万円を一括で払い込み、死亡保障として600万〜700万円を確保できる設計が一般的です。また、10年後に解約した場合も、元本以上の金額が返戻される商品もあります。
メリット:安全性と利回りを両立
主なメリットは以下の通りです。
- 預貯金よりも高い予定利率が期待できる
- 死亡保障としての役割も果たす
- 相続税対策として「非課税枠」を活用できる
- 10年程度で解約返戻金が元本を超える商品も
銀行預金に置いておくよりは利回りがよく、かつ元本保証に近い安全性を確保しながら運用ができる点が魅力です。
注意点:デメリットとリスクも見逃せない
一方で、デメリットもいくつか存在します。
- 途中で解約すると元本割れのリスクがある
- インフレに弱く、実質利回りが下がる可能性
- 資金がロックされ、すぐ使えない
- 高齢になると健康状態によって加入できない場合も
特に、5年以内の解約は多くのケースで元本を下回ります。ライフプランに応じて10年以上運用できるかを検討する必要があります。
向いている人・向いていない人の特徴
一時払い終身保険が向いているのは、以下のような方です。
- まとまったお金があり、10年以上使う予定がない
- 元本保証に近い形で資産を運用したい
- 死亡保障や相続対策を同時に考えたい
一方で、向いていないのは。
- 今後大きな出費の予定がある
- 数年以内に現金化する可能性が高い
- 高リスクでも高利回りを狙いたい
たとえば「子どもの学費に使う予定のない資金が10年以上ある」など、明確な用途がない資金には適しているといえるでしょう。
保険ショップの提案は鵜呑みにしないことが重要
複数の保険を取り扱う代理店は、特定の保険会社からインセンティブを得ているケースもあるため、「良い商品」の提案であっても、販売者の都合が含まれている可能性も否定できません。
提案された商品は、自分で一度ネットや資料請求で調べ直す、金融庁の公式情報を確認する、など第三者的視点からの検証を忘れないようにしましょう。
実際にあったケース:判断基準の参考に
ある40代男性は、住宅購入後に余った500万円を一時払い終身保険に預けたところ、10年後に約580万円で解約。銀行預金に置いておいたよりも20万円以上多く戻ってきたとのことです。死亡保障も300万円付いており、万一に備える効果も期待できたと言います。
ただし、この人の場合「本当に10年間使わなかった」ことがカギです。途中で急な資金ニーズが生じていたら、元本割れの可能性もあったとのことでした。
まとめ:目的と期間に応じて慎重に判断を
一時払い終身保険は、「10年以上動かさない予定の資金」がある場合には、有効な運用手段の一つです。ただし、途中解約のリスクや販売側の営業トークには十分注意し、自分自身のライフプランと照らし合わせて判断することが大切です。
保険選びで迷ったときは、複数の代理店での相談や、FP(ファイナンシャルプランナー)へのアドバイスを仰ぐのも有効です。
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