銀行口座を解約すると、その通帳は無効になります。しかし、「すでに使えない通帳なら、他人に譲っても問題ないのでは?」と考える方もいるかもしれません。この記事では、解約済み通帳を他人に渡すことのリスクや、法律・個人情報保護の観点からの注意点を詳しく解説します。
解約した通帳の法的な扱いとは?
銀行口座を正式に解約した場合、その口座番号は無効になり、通帳も金融機関としては役割を終えた「記録帳票」に過ぎません。つまり、金銭的な取引には一切使えません。
ただし、通帳には過去の取引履歴や口座番号、氏名、支店名などの重要な個人情報が記載されているため、扱いには慎重さが求められます。
個人情報保護の観点から見たリスク
たとえ使えなくなった通帳であっても、他人に渡すことで個人情報の漏洩や悪用につながるおそれがあります。住所が推定されたり、過去の入出金記録から生活状況が推測される可能性も否定できません。
とくに犯罪目的で情報が使われた場合、「本人は無関係」と証明するのが難しくなるケースもあります。
悪用された事例とトラブルの実例
近年では、解約済みの通帳が闇バイトや不正契約に使われるという事例も報告されています。たとえば「捨てるだけ」と思って渡した通帳が、偽名で再利用されたり、身元保証の偽装資料として提出されたりした例があります。
こうした事例では、警察の調査対象になる可能性もあり、自分の身に危険が及ぶことも。
通帳は他人に渡すのではなく処分を
通帳は金融機関で解約後、破棄するよう指示される場合があります。中には「そのまま返却される」ケースもありますが、その際は個人情報が読み取れないように、裁断・シュレッダー・黒塗りなどで完全に処理することが推奨されます。
家庭用シュレッダーでも対応可能ですが、細断できない場合はハサミで切るなどして、銀行名・口座番号・取引履歴が特定できないようにしましょう。
譲渡・売買の禁止と処罰の可能性
現在、日本では通帳・キャッシュカードの名義貸しや譲渡は禁止されており、警察庁の「振り込め詐欺防止策」などでも明確に「使用済みでも譲渡はNG」とされています。
もし、使えないはずの通帳が犯罪に使われた場合、「譲渡した側にも責任が問われる可能性」があります。特に、金銭と引き換えに渡していた場合は「口座売買」と見なされる可能性もあり、最悪の場合、刑事責任を問われることもあります。
まとめ
解約済みの通帳であっても、それを他人に渡すことには大きなリスクが伴います。使えない=安全、ではなく、個人情報や犯罪への悪用リスクをしっかり意識することが重要です。
不要になった通帳は、必ず自分で適切に処分し、他人に渡すことは絶対に避けましょう。
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