不動産収入がある会社員が60代前半で退職する場合の理想的な年金受給戦略と節税の考え方

年金

60代前半での退職を検討する会社員にとって、年金受給開始時期の選択は老後の資金計画に大きな影響を与えます。特に、不動産収入がある方は課税の影響も考慮する必要があります。本記事では、繰上げ受給のメリット・デメリットや退職の最適なタイミング、節税の工夫について解説します。

退職タイミングと年金繰上げ受給の基本

一般的に、年金の繰上げ受給は60歳から可能ですが、1ヶ月早めるごとに年金額が0.4%ずつ減額され、最大30%減となるため慎重な判断が必要です。

たとえば、月15万円の年金を61歳から受給すると約13万2千円、62歳では約13万8千円程度となります(あくまで概算)。一方で、早期受給によりその分早く年金が得られるため、平均寿命までの受取総額で見ると「損得の分岐点」は77~78歳前後といわれています。

不動産収入がある人が注意すべき税制上のポイント

年間500万円の不動産収入がある場合、それは「雑所得」または「不動産所得」として課税対象になります。この金額によって、基礎控除や年金の公的年金等控除後の年金所得にも課税されることになります。

65歳以上になると、公的年金等控除額は年間110万円となりますが、所得税非課税にするには「合計所得金額」が48万円以下である必要があるため、年金と不動産収入を合算して管理する必要があります。

理想的な退職年齢と年金開始年齢のシミュレーション

収入が多いほど控除が薄れ、税負担が増す構造を考えると、「会社を退職した直後で不動産所得のみに移行する」61歳または62歳で年金を繰り上げず、65歳まで待つ選択が最も無難です。

早期に退職しても、不動産収入のみの生活であれば社会保険料(厚生年金・健康保険)の負担はなくなります。年金を繰り上げずに満額で受け取ることで、老後の安定した収入基盤が築けます。

節税の選択肢:不動産収入と控除の最適化

不動産収入のうち、必要経費(修繕費、管理費、減価償却費など)を正しく計上することで課税所得を圧縮することが可能です。たとえば、年間500万円の収入があっても、経費として200万円計上できれば、課税所得は300万円に抑えられます。

また、青色申告の特別控除(最大65万円)を活用したり、所得分散のために配偶者名義の口座に一部振込を行うなどの工夫も検討の余地があります(税理士への相談を推奨)。

繰下げ受給という選択肢もある

反対に、繰下げ受給(66歳以降に受給)すると年金額は1ヶ月ごとに0.7%増加します。たとえば66歳で受給を始めると月約16万2千円、67歳なら約17万1千円といった具合に増額され、長生きする自信がある方には有利になります。

ただし、繰下げ中は収入が不動産所得のみになるため、一定の資金的余裕と税負担とのバランスを見極める必要があります。

まとめ:60代のライフプランに応じた最適戦略を

退職後の不動産収入が安定しているなら、年金は65歳まで繰り上げず、満額受給が原則有利です。節税の面では、不動産所得の経費計上や青色申告を活用し、総所得を抑えることで所得税を軽減できます。退職は社会保険料の発生しないタイミング(60~62歳)を目処に、生活費と医療費のバランスも加味して計画的に進めましょう。

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