「住民税の納付書が届いたけど、既に給与から引かれていたはず…」「副業でも住民税が引かれていたのに?」このような疑問を持つ方は意外と多くいます。特に正社員と副業を組み合わせて働いていた方にとって、住民税の仕組みはわかりにくいものです。この記事では、なぜ住民税の納付書が届いたのか、その背景と仕組みをわかりやすく解説します。
住民税とは:前年の所得に基づいて課税される税金
住民税は、前年の1月〜12月の所得に対して、翌年の6月から翌々年の5月まで支払う仕組みです。つまり、2023年に得た所得に対しては、2024年6月から住民税が課されます。
このため、たとえば2023年に正社員+副業で収入があった場合、その合計所得に対する住民税が2024年から課税され、それに対応する納付書が2024年6月頃に届くことになります。
給与天引きと納付書:住民税の2つの支払い方法
住民税の支払い方法には以下の2種類があります。
- 特別徴収:勤務先が給料から天引きして納付(多くの正社員が該当)
- 普通徴収:自分で納付書を使って支払う(退職者・副業のみの人など)
退職や転職により一時的に特別徴収が中断した場合、その年の住民税は「普通徴収」に切り替えられ、納付書が自宅に届くようになります。
副業分だけでなく全体の所得に対して課税される
住民税は、給与所得・副業所得などすべての所得を合算して計算されます。つまり、「副業だけの住民税」と「正社員分の住民税」を別々に支払うのではなく、全体の所得に対して一括で課税されるという点に注意が必要です。
そのため、副業先で住民税が引かれていたとしても、それは副業先が独自に見積もった額であり、後で全体所得に基づいて再計算された結果、追加の納付書が届くことがあります。
納付書が届いた理由:転職・退職後の影響も
納付書が届いた理由には、以下のような要因が考えられます。
- 正社員時代の職場では住民税が引かれていなかった(未対応)
- 退職により特別徴収から普通徴収へ切り替わった
- 副業分を含めた全体の所得に対する差額徴収
結果的に、「一部が引かれていたが、足りなかった分」が今回の納付書で請求されたというのが実態です。
よくある誤解:「二重課税では?」と感じる理由
「副業でも引かれていたのにまた請求?」と感じるのは無理もありませんが、これは二重課税ではありません。前述のように、住民税は合算所得に対して課税されるため、途中で引かれていた金額はあくまで仮払いに過ぎず、年末に精算されるというイメージです。
確定申告をしていた場合、正確な金額が算出され、それをもとに納付書が発行されるのです。
納付書の内容を確認するポイント
納付書には次のような情報が記載されています。
- 課税対象年度(例:令和6年度)
- 所得金額と住民税額
- 森林環境税(年間1,000円)
- 納付スケジュール(4期分または一括)
課税内容が不明確な場合は、お住まいの市区町村の税務課に問い合わせてみると、内訳を丁寧に説明してもらえます。
まとめ:住民税の納付書は「後払い調整」の結果
今回のように納付書が届くケースは、退職・転職・副業などによって支払い方法が変わる中で発生する、住民税の「調整」や「不足分の請求」です。これは正当な課税であり、二重課税ではありません。
今後も副業や転職を考えている方は、確定申告と住民税の徴収方法(特別 or 普通)を意識しておくことで、予想外の請求を防ぐことができます。
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