近年、Visaなどのクレジットカードによるタッチ決済の普及が急速に進んでおり、ニュースでも「爆発的成長」と報じられています。こうした動きの中で、SuicaやPASMOといった交通系ICカードは時代遅れになりつつあるのかという疑問が生まれています。本記事では、Visaのタッチ決済の成長背景と、交通系ICカードが依然として重要である理由について解説します。
Visaタッチ決済の急成長とその背景
Visaのタッチ決済(NFC対応クレジットカードやスマホ)は、コンビニ・スーパー・ドラッグストアなどで利用が拡大しており、コロナ禍を契機に非接触決済の需要が急増しました。さらに、鉄道やバスといった公共交通機関にも導入が進んでいます。
たとえば、関西圏の私鉄やJR東日本の一部路線では、改札にVisaタッチ決済を導入し、訪日外国人やキャッシュレス志向の利用者に利便性を提供しています。登録不要で即時利用できる点が最大のメリットです。
交通系ICカードが担う役割とは?
Suica・PASMOなどの交通系ICカードは単なる「乗車券」ではなく、定期券機能・オートチャージ・多様なポイント連携を備えた総合的な電子マネーです。特に都市部では日常生活のあらゆる場面で使用されており、単純な決済手段以上の役割を果たしています。
また、モバイルSuicaやモバイルPASMOの普及により、スマートフォン1台で交通・買い物・定期更新が完結する利便性も高く評価されています。
定期券ユーザーにとっての不可欠な存在
Visaタッチ決済には、現時点で「定期券機能」はありません。通勤・通学に定期を利用している人にとっては、Suica・PASMOは今後も必須の選択肢です。
さらに、企業や学校との連携による通勤費精算・学割などもICカード特有の仕組みであり、Visaタッチでは代替できないのが現状です。
併用できる環境が今後の主流に
Visaタッチと交通系ICカードは、今後は競合というより「併存」や「用途分担」という形で共に使われていくと考えられます。
たとえば、訪日観光客やICカードを持たない一時利用者はVisaタッチを、日常的に通勤・通学を行う人はSuicaやPASMOを使う、といった明確な使い分けが今後も続くでしょう。
一部交通事業者の見解と今後の動向
JR東日本をはじめとする鉄道事業者は、「Visaタッチなどのクレジットカードによる改札通過は、訪日外国人やライトユーザー向けの補完的手段」と位置付けています。
一方で、Suicaなどは駅ナカビジネス・ポイント還元・地域連携施策とも密接に結びついており、企業戦略の中核を成しています。このため、交通系ICカードを廃止するような計画は存在しません。
まとめ:Visaタッチと交通系ICは目的に応じて使い分ける時代
Visaのタッチ決済は確かに急成長しており、今後もさまざまな場面での活用が期待されます。しかし、SuicaやPASMOといった交通系ICカードが“オワコン”になるわけではありません。
定期券機能・地域密着の利便性・ポイント連携など、交通系ICならではの価値は今後も健在です。利用シーンに応じて、上手に使い分けていくことが今後のスマートな選択となるでしょう。
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