国民年金から支給される「遺族基礎年金」は、被保険者が亡くなった際、一定の条件を満たす遺族に対して支払われる制度です。特に近年では、再婚や離婚を経験した家庭も多く、前妻・現妻・子どもがそれぞれ存在するようなケースで「誰に年金が支給されるのか?」という疑問を持たれる方も少なくありません。本記事では、バツ2の男性が亡くなった場合に、遺族基礎年金が誰に支給されるのか、具体的な家族構成をもとにわかりやすく解説します。
遺族基礎年金の基本支給要件とは?
遺族基礎年金は、18歳到達年度の末日までの子ども(または障害のある20歳未満の子ども)がいる、配偶者またはその子に支給されます。
つまり支給の中心は「子のいる配偶者」または「子本人」です。婚姻の有無や親権の有無よりも、子どもが条件に該当し、誰と同居しているか、扶養関係があるかが重要なポイントとなります。
前妻に子がいる場合、現妻がいない間は支給対象となる?
たとえば、被保険者が亡くなった時点で現妻は妊娠中で子がいない一方、前妻(前妻2)には18歳未満の子どもがいて、同居・扶養している場合、その子どもが遺族基礎年金の支給対象になります。
この場合、実際には「子本人」に支給されますが、子どもが未成年であるため、監護・養育している前妻(前妻2)が『子に代わって』年金を受け取ることになります。
つまり、現妻の子どもが生まれるまでは、前妻2の子どもが遺族基礎年金の支給対象となり、結果的に前妻2に年金が振り込まれる構造になります。
現妻が出産すると年金の支給先は変わる?
現妻が出産し、現に生計を維持する18歳未満の子どもが現妻のもとに誕生した場合、その子どもが遺族基礎年金の支給対象に該当します。
この時点で、現妻がその子と同居・扶養していれば、遺族基礎年金は新たに「現妻(=子の母)」に支給されることになります。前妻2に対する支給は停止され、以後の受給権は現妻が有する子どもを前提としたものに切り替わります。
支給先の優先順位は「子のいる配偶者 → 子本人」という原則に従っており、複数の子どもがそれぞれ別家庭で暮らしている場合は、支給資格を持つ最も条件に合う子ども(または配偶者)に一本化されます。
前妻1の子にも受給権はある?
前妻1にも18歳未満の子がいる場合でも、その子どもが父親の死亡時に同居しておらず、扶養されていない場合には、原則として受給権は発生しません。
また、遺族基礎年金はあくまで1家族単位(=1件)で支給される制度であるため、複数の子どもが別々にいる場合でも重複して複数の支給はされません。子が複数人いるときは、「最も受給条件に適合した子(または配偶者)」に対して支払われます。
したがって、前妻1の子が父の死亡時に扶養・同居の状況になかった場合は、受給対象外になると解釈されます。
注意点:出生日や認知の有無、同居・扶養状況によって変わる
遺族基礎年金の受給権は、出生の順番ではなく、死亡時点での子の状況(同居・扶養・年齢・認知など)によって決まります。以下のようなポイントに注意が必要です。
- 認知されていない子は対象外となる可能性あり
- 出生日が父の死亡日以降でも、一定条件で受給権が発生する
- 養子に出されていたり、扶養していない場合は対象外になることも
状況が複雑な場合は、年金事務所や社会保険労務士に直接相談することで、正確な受給対象を確認できます。
まとめ:子どもの状況が鍵。支給対象者は都度変わることも
遺族基礎年金の支給対象は、被保険者に18歳未満の子がいることを前提に、同居・扶養・出生の順など複数の条件によって決まります。現妻が出産する前までは、子どもを養育している前妻2が受給者となるケースもあり、出産後には現妻側へ支給が切り替わる可能性が高いです。
一方、前妻1に関しては、同居・扶養されていない場合には最初から受給権が発生しないこともありえます。複雑な家族関係のもとでも制度は明確なルールに基づいて動くため、心配な場合は早めに専門機関へ確認することをおすすめします。
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