国民年金の全額免除を受けた期間がある方にとって、「追納するかどうか」は老後の年金額に直結する重要な判断です。生活に余裕がない中で38万円を追納すべきか、どれだけ損をするのか、将来への影響を具体的に見ていきましょう。
全額免除期間が将来の年金額に与える影響
国民年金の全額免除期間は「未納」とは異なり、年金受給資格期間には含まれますが、年金額への反映は通常の1/2にとどまります。
例えば、2025年度の年金計算において、1年(12ヶ月)全額納付すれば年間で約20,000円程度年金が増えますが、全額免除期間はその半分、約10,000円程度しか増えません。
23ヶ月分の全額免除で損をする金額の目安
質問にあるように、平成27〜29年度の23ヶ月を全額免除した場合、老齢基礎年金の受取額に影響する金額は以下の通りです。
- 全額納付していれば:23ヶ月×約1,667円=約38,341円/年
- 全額免除のまま:その半分、約19,170円/年
- 差額:約19,000円/年の損
つまり、追納しないと老後毎年約1万9千円ずつ年金が減ることになります。平均寿命85歳として計算すれば、65歳から20年間でおよそ38万円の差に。
追納することで本当に得をするか?
もし追納額が38万円で、将来の年金差額が年間19,000円なら、
- 38万円÷19,000円=約20年
追納した金額を回収するには約20年かかるということになります。健康で長生きできるなら得になる可能性が高いですが、60代や70代前半で亡くなってしまうと損になる可能性も。
追納せずに節約&備える選択肢もあり
一方で、無理に追納せずに将来の備えを別の形で整えるのも一つの手です。たとえば。
- iDeCo(個人型確定拠出年金)で税制優遇+老後資金を準備
- つみたてNISAで分散投資して資産形成
- 生活保護や最低保障年金制度などのセーフティネットを理解
このように、必ずしも追納しなくても将来に備える方法はあります。
追納期限と優遇措置について
全額免除の追納は原則10年以内なら可能ですが、古い年度から順に時効が来て追納できなくなるので注意が必要です。
さらに、追納する年によっては加算金(延滞利息のようなもの)が発生するため、可能であれば早めの対応がおすすめです。市区町村の年金窓口にて、追納額・期限・加算金など詳細を確認しましょう。
まとめ:無理のない範囲で判断するのがベスト
23ヶ月分の全額免除を追納しないと、将来の年金額が年約19,000円減る見込みです。これは20年で約38万円の差になります。追納すべきかどうかは、健康状態や寿命の予測、現在の生活状況を踏まえたうえで慎重に判断するのが賢明です。
「老後資金の準備」という視点から、追納以外の方法も柔軟に検討してみましょう。
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