育休中に産後うつになってしまった場合、心身の回復とともに生活資金の確保も気になるところです。日本の社会保険制度には、育児休業給付金・傷病手当金・失業給付など、状況に応じた複数の給付制度があります。この記事では、産後うつなどで就労が困難になった場合に利用できる制度の併給ルールや受給順序について、わかりやすく解説します。
育児休業給付金と傷病手当金は基本的に併給不可
まず押さえておきたいのは、育児休業給付金と傷病手当金は、原則として同一期間中に併給できないという点です。
ただし、産後うつなどにより「職場復帰が困難」となり、会社が就業不能と判断して休職扱いとする場合には、育児休業の終了と同時に傷病手当金の受給に切り替えられる可能性があります。
復職予定日に復職できないときは病休+傷病手当金を検討
育休明けに体調が回復せず出勤が難しい場合は、まず主治医の診断書を提出し、会社に病気休職を申請します。
この期間中は、健康保険から「傷病手当金」が支給されることがあります。原則として、連続3日間の待期期間後、4日目から最長1年6カ月まで受給できます。
この場合も、医師の証明と会社側の協力が必要となるため、事前に人事や産業医に相談しておくと安心です。
退職後でも傷病手当金は継続して受給できる?
退職後も傷病手当金を受け取り続けるためには、退職日の時点で傷病手当金の支給要件を満たしていることが条件です。具体的には、以下の2点がポイントです。
- 退職日前から「就労不能状態」が続いていた
- 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間がある
これらを満たせば、退職後も健康保険の任意継続に加入せずとも、最長1年6カ月までの間、継続して手当が支給されます。
傷病手当金終了後に失業給付を受け取るには
傷病手当金が終了しても就職できていない場合は、ハローワークで「求職活動」を開始することで失業給付(基本手当)を受け取ることができます。
注意点として、病気で働けない状態にある間は「失業状態」とはみなされないため、まず「就労可能な状態」になってから手続きを行います。
また、傷病手当金受給期間が長期に渡っていた場合、受給延長手続きにより失業給付の受給期間を先延ばしにできる制度もあります。
ケース別:上手な制度活用シミュレーション
例1)育休終了→復職できない→病休+傷病手当金→回復せず退職→継続して傷病手当金→回復後に失業給付
この流れであれば、収入が断絶するリスクを抑えつつ療養・回復に専念できます。事前に主治医・会社・ハローワークなどに相談しながら進めましょう。
まとめ:状況に応じて制度を組み合わせ、安心できる療養と生活を
産後うつなどで育休明けに就労が困難な場合でも、制度の仕組みを正しく理解して行動すれば、経済的不安を最小限に抑えながら回復に向かうことが可能です。
傷病手当金・失業給付・育児休業給付などの社会保障制度は、重複ができない場面も多いため、状況に応じた制度の選択と、適切なタイミングでの手続きが重要です。必要があれば社会保険労務士やハローワークに相談して、賢く制度を活用しましょう。
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