年金生活を始めた後も、住民税の通知が届いて「こんなに高いの?」と感じる人は少なくありません。特に、現役で働きながら年金を受け取っている方にとっては、その課税の仕組みがわかりにくいことも多いでしょう。この記事では、年金にかかる住民税の仕組みと、就労状況が税額にどう影響するかをわかりやすく解説します。
年金にも住民税は課税される
年金収入が一定額を超えると、住民税の対象になります。具体的には、65歳以上で年金収入が158万円(基礎控除・公的年金等控除後の所得)を超える場合、住民税が課される可能性があります。280万円の年金収入があれば、住民税の課税対象になるのは自然なことです。
また、年金からの住民税は「特別徴収」として、年金から自動的に天引きされます。これにより、通知が来た時点で税額の高さに驚くこともあるでしょう。
住民税は前年の総所得で決まる
住民税の金額は、「前年の1月から12月までの総所得額」に基づいて計算されます。そのため、現在の収入状況ではなく、あくまで昨年の収入が反映されている点に注意が必要です。
たとえば、2024年6月に届いた住民税通知の内容は、2023年の所得に基づいています。2023年にフルタイムで働いて年収520万円+年金280万円という合計800万円の所得がある場合、住民税はその全体に対して課税されるため高くなるのです。
働き続けることによる影響
現役でフルタイム就労していると、年金以外の給与収入が増えます。住民税の算出では「年金と給与を合算した総所得」が課税対象になるため、働くほど税金が高くなる傾向があります。
特に、住民税の基礎控除・年金控除・給与所得控除を差し引いても課税所得が残る場合、住民税率10%前後が適用されるため、高額になるのは避けられません。
退職後に住民税が減る理由
退職して収入が年金のみになると、課税所得が大きく下がるため、住民税は大幅に減少する可能性があります。また、非課税限度額以下の年金収入であれば、住民税そのものが非課税になる場合もあります。
ただし、ここでも注意が必要です。退職後しばらくは、前年の収入が反映された住民税額が請求されるため、実際に税額が下がるのは退職の翌年からとなります。
具体例:就労と税額の関係
例1:Aさん(66歳)年金収入280万円+給与520万円 → 課税所得約300万円 → 住民税21万円程度
例2:Bさん(67歳)年金収入のみ280万円 → 控除後の所得80万円 → 住民税4〜5万円程度
このように、働いているか否かで住民税額は大きく変わります。
まとめ:住民税の仕組みを理解して節税を考えよう
年金生活に入っても住民税が高額に感じるのは、現役時代の収入や現在の就労が反映されているからです。住民税は1年遅れで課税されるため、仕事を辞めたからといってすぐに減税されるわけではありません。
税額を減らしたい場合は、就労スタイルを見直したり、税務相談で控除を最大限に活用する方法を検討してみるのも良いでしょう。
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