年金制度の中でもあまり知られていないのが「加給年金」の仕組みです。これは、厚生年金に一定期間加入した人が、扶養する配偶者や子どもがいる場合に受け取れる加算制度です。この記事では、特に配偶者が年上で既に年金を受給しているケースについて、加給年金がいつ停止されるかを含め、支給条件や注意点を詳しく解説します。
加給年金とは何か?基礎知識を押さえる
加給年金は、厚生年金の受給者が65歳に達した時点で、一定の条件を満たす配偶者や子どもがいる場合に支給される制度です。対象となる配偶者は65歳未満である必要があり、一定の年収(850万円未満など)以下であることも条件となります。
たとえば、夫が65歳で年金を受給開始したとき、妻がまだ60歳で収入がなければ、夫の年金に年額約39万円(2024年度時点)が上乗せされる可能性があります。
加給年金が支給停止になるタイミング
加給年金の支給は、以下のいずれかに該当すると停止になります。
- 配偶者が65歳に到達したとき
- 配偶者が老齢基礎年金などを受給開始したとき
- 配偶者の年収が一定以上になったとき
つまり、加給年金はあくまで「扶養的立場にある配偶者」がいる場合に支給されるため、配偶者自身が年金を受け取れる年齢になった時点で支給対象外となります。
配偶者が年上で既に年金を受給している場合の扱い
加給年金の支給には「配偶者が65歳未満であること」が前提です。よって、もし配偶者がすでに年金を受給している72歳などの場合は、そもそも加給年金の支給対象外になります。
たとえば、被保険者(妻)が65歳になったとき、夫がすでに72歳で年金を受け取っているのであれば、加給年金は支給されません。
配偶者が年上の場合でも例外はある?
配偶者が年上でも、その方が年金を受けていない・受給資格がない場合は、例外的に加給年金が支給されることがあります。ただし、これは非常に限定的なケースであり、詳細は年金事務所での確認が必要です。
たとえば、外国籍の配偶者で年金加入期間がないなどの理由で、65歳を超えても老齢年金を受け取っていない場合などが該当します。
加給年金と振替加算の違い
加給年金と似たような制度として「振替加算」がありますが、これは加給年金が終了したあとに配偶者に移る加算制度で、金額は少なくなります。
振替加算の受給には、配偶者側が一定の年金加入要件(昭和41年4月1日以前生まれなど)を満たしている必要があるため、必ずしも自動で受け取れるわけではありません。
まとめ:加給年金は状況により支給の有無が大きく変わる
加給年金は、配偶者が65歳未満かつ年金を受け取っていない場合に支給される制度で、配偶者が既に高齢で受給している場合には原則支給されません。加給年金の可否は状況により変わるため、不明点は年金事務所に相談するのが確実です。
加給年金の支給・停止の条件を把握し、自分の受給計画を早めに立てておくことが、将来の年金を最大限に活かす第一歩になります。
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