年金計算に影響する「平均標準報酬額」と私傷病による休業期間の取り扱いとは?

年金

年金の受給額を算定する際に重要な要素となるのが「平均標準報酬額」です。しかし、私傷病で休業し給与の支払いがなかった期間がある場合、この平均にどう反映されるのかは気になるところです。この記事では、平均標準報酬額の基本的な仕組みと、私傷病による無給期間の取り扱いについて解説します。

平均標準報酬額とは何か?

平均標準報酬額とは、厚生年金の年金額を決定するために使用される報酬の平均値です。具体的には、1986年4月以降の「標準報酬月額」および2003年4月以降の「標準賞与額」の平均を指します。

厚生年金保険に加入していた期間全体の報酬を平均して、老齢厚生年金の基礎となる金額を計算することになります。基本的に、標準報酬月額が高いほど、将来の年金額も高くなります。

私傷病での休業期間の標準報酬はどう扱われる?

私傷病で休業し、給与の支払いがなかった月については、会社が届け出を行った場合、「標準報酬月額が下がる」可能性があります。報酬がない(または著しく減った)月も保険料の対象期間には含まれますが、報酬がなければ標準報酬月額が下がるため、平均値に影響する可能性があります。

ただし、休業中でも一定の報酬が支給されている場合や、会社側が標準報酬の変更手続きをしていない場合には、以前の月額で継続されるケースもあります。標準報酬月額は毎年6月〜7月の定時決定で見直されるため、休業のタイミングによって反映のされ方が異なります。

報酬がない月が平均に含まれるケースと含まれないケース

例えば、私傷病で長期休業し、給与支給が完全に停止された場合、標準報酬月額も最下位等級(現在は8万8000円)まで下げられることがあります。その場合、その低額も平均に含まれることになり、年金額に影響を及ぼします。

一方、休業が一時的かつ短期間であった場合は、報酬月額に変化がなければ、元の標準報酬が継続され、平均値に影響を与えないこともあります。

実際の手続きは会社と年金事務所が行う

標準報酬月額の変更には「月額変更届」や「報酬月額変更届」などの手続きが必要であり、これは基本的に会社側が行います。被保険者本人が自ら変更することはできません。

そのため、会社が適切に手続きをしていない場合、平均標準報酬額が実際の報酬と異なる形で処理されてしまう可能性があります。心配な場合は、会社の人事・総務担当に確認するか、日本年金機構に問い合わせるのが安心です。

将来の年金額への影響と備え

一時的に収入がなくなったことで標準報酬月額が下がると、将来の老齢厚生年金の受給額にわずかながら影響を与える可能性があります。特に長期間にわたる休業や複数回の休業があった場合は、影響が大きくなります。

そのため、長期休業の可能性がある方は、任意加入や国民年金の第1号被保険者としての対応、または付加年金の活用など、他の手段も併せて検討するとよいでしょう。

まとめ:休業による無給期間も平均に影響する可能性あり

私傷病による休業中の給与が無かった場合でも、標準報酬月額の変更があれば、それが平均標準報酬額に反映されるため、将来の年金額に影響を与えることがあります。

会社の報酬月額の届出がどのように行われているか、また自分の標準報酬がどのように登録されているかを定期的に確認することが、正しい年金額を得るために重要です。

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