傷病手当金と有給休暇の関係|退職時に注意すべきポイントと正しい手続き

社会保険

傷病手当金は、病気やけがで働けない間の生活を支えるための大切な制度です。特に退職を控えたタイミングでは、有給休暇の扱いや手当金の継続条件を正しく理解しておくことが重要です。この記事では、退職時における傷病手当金の扱いについて、特に「有給休暇の取得が支給にどう影響するか」を中心に解説します。

傷病手当金とは?その基本概要

傷病手当金は、健康保険に加入している被保険者が病気やけがで働けなくなった場合、会社からの給与が支払われていないことを条件に、最長で1年6ヶ月間支給される制度です。

支給要件は以下のとおりです:

  • 業務外の病気やけがである
  • 医師により労務不能と認められている
  • 連続する3日間の待期期間を経た4日目以降も労務不能が継続している
  • その期間に給与の支払いがない

退職後も傷病手当金を受給できる条件

在職中に支給が始まっており、退職日までに傷病手当金の支給要件を満たしている場合、退職後も引き続き受給することができます。ただし、退職時に「健康保険の任意継続」または「資格喪失後の継続給付」の手続きを行う必要があります。

退職前にきちんと手続きを済ませていれば、退職後も傷病手当金は継続して支給されます。

有給休暇を取得した場合の影響

有給休暇は「給与が支払われる日」であるため、その期間は傷病手当金の支給対象外になります。つまり、退職前に有給休暇を消化すると、その期間は手当金が支給停止されます

例:退職日が5月31日、有給休暇を5月1日〜31日に消化した場合、有給期間中は給与が支払われていると見なされ、傷病手当金は支給されません。そして退職後は「在職中に無給の期間がなかった」と判断され、継続支給の資格が消失するリスクがあります。

傷病手当金を優先したい場合の選択肢

傷病手当金の継続受給を重視するなら、有給休暇を使わずに退職するのが最も確実です。その場合、有給休暇は放棄する形にはなりますが、退職後も手当金を受け取れるメリットがあります。

ただし、会社によっては「有給休暇をすべて消化してから退職してもらう」方針を取っているところもあります。その場合は、会社側としっかり話し合い、場合によっては有給の一部を買取してもらえるか相談してみましょう。

退職前の手続きと注意点

退職前に確認・対応すべきポイントは以下の通りです:

  • 退職日までに傷病手当金が支給開始されているか確認
  • 有給休暇を取るか取らないか、会社と話し合い明確にしておく
  • 退職後の手当金継続のために必要な書類を揃えておく
  • 健康保険の資格喪失日を確認(任意継続手続きの有無)

まとめ:有給取得と手当金支給のバランスを取る

有給休暇と傷病手当金は両立できないため、どちらを優先するかが重要な選択となります。金額面・支給期間・体調などを総合的に考慮し、最も自分にとって安心できる選択をしましょう。わからない場合は、会社の総務や健康保険組合に相談するのが確実です。

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