現金での銀行振込を行う際、金額によっては本人確認書類の提示が求められることがあります。これはマネーロンダリングや犯罪収益移転防止の観点から、金融機関が義務付けられている対応です。本記事では、「10万円以上の現金振込時の本人確認がなぜ必要なのか」「複数回に分けて振り込めば回避できるのか」といった点を詳しく解説します。
なぜ10万円以上の現金振込で本人確認が求められるのか
銀行や信用金庫などの金融機関は、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)に基づき、10万円を超える現金振込の際には「顧客の本人確認」を行う義務があります。
この法律は、反社会的勢力による資金洗浄(マネーロンダリング)やテロ資金供与を防ぐために定められており、10万円超の現金振込は必ず本人確認が行われます。
分けて振り込めば本人確認は不要?
例えば、「8万円をA銀行から」「7万円をB銀行から」といったように、同日に同じ振込先へ10万円以下ずつ分けて振り込めば、理論上はそれぞれの振込は本人確認の対象にはなりません。
しかし、これは「分割振込による規制回避」とみなされる可能性があり、銀行側が不審な取引と判断すれば、確認を求められたり振込を保留されるリスクもあります。
銀行は取引内容をどうチェックしているのか
金融機関は、顧客の取引履歴をもとに「疑わしい取引」と判断される内容をモニタリングしています。たとえば。
- 同日に複数の支店や銀行からの振込がある
- 送金先が同一人物・同一口座である
- 振込理由が不明瞭である
といったケースでは、金融機関の内部基準により、追加確認や取引の中止が行われることも。
本人確認書類なしで振込する場合の限度額と方法
現金による振込は「10万円以下」であれば本人確認書類は原則不要です。ただし、金融機関によっては、ATMでの現金振込自体を制限しているケースも増えており、以下のような選択肢が推奨されます。
- 自分名義の口座を利用した振込(ATMやネットバンキング)
- コンビニ振込(ただし上限金額あり、取り扱い機関も限定)
一度本人確認を済ませた自分の口座を利用する方が、安全性も利便性も高くおすすめです。
身分証明書を持参するのが最も確実
複数に分けた振込や他行を利用する方法は、短期的には本人確認を回避できるように見えますが、実際には不自然な取引として記録され、逆にリスクが高まることもあります。
そのため、最初から以下のような身分証明書を持参して、正規の手続きで振込を行うのがベストです。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 健康保険証(補完書類が必要な場合あり)
まとめ:本人確認は法令に基づくルール。正しい手続きで安全に振込を
現金振込を複数回に分けて行えば、形式上は本人確認を避けられる可能性がありますが、それはリスクを伴います。金融機関では、そうした取引も監視の対象となり、不正利用の疑いがあれば取引停止の対象にもなり得ます。
安心・安全な取引のためには、正規の手続きで本人確認書類を提示し、堂々と振込を行うのがもっとも賢明な選択です。
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