子どもの将来の教育費を確保する目的で加入することの多い学資保険。しかし、金融情勢の変化や満期前のタイミングによっては「今、解約して他の運用に変えるべきか?」と悩む人も少なくありません。この記事では、現在の金利上昇局面を踏まえ、学資保険の解約を検討する際に見るべきポイントをわかりやすく解説します。
学資保険の基本:支払額と受取額のバランス
学資保険は毎月または半年・年払いで保険料を積み立て、満期時や子どもが進学するタイミングで保険金を受け取る仕組みです。
たとえば、10年間で約280万円を支払い、300万円を分割で受け取るプランであれば、20万円の差益が発生する構造です。年間で見ると利回りはそれほど高くないものの、元本保証と死亡保障付きという点で人気があります。
解約返戻金がプラスになるタイミングとは
多くの学資保険は、支払いの後半に入ってようやく解約返戻金が元本を超える設計になっています。今回のように「20回支払ううち15回支払い済み」「解約すれば2万円ほどのプラス」という状況は、まさに返戻率が上がり始めた好例です。
このタイミングでの解約は「元本割れのリスクがない」という意味ではメリットがありますが、今後の5年で受け取れる予定の保険金に比べてどの程度の金利メリットがあるかが重要です。
定期預金と学資保険、どちらが得か?
現在は金利が上昇傾向にあり、一部の定期預金で0.3〜0.5%程度の利率が提示されています。例えば、残りの支払い総額を150万円として、これを定期預金で5年間運用したとすると、利息は単利でも約3〜4万円程度となる計算です。
一方で、学資保険を継続すれば75万円×4回=300万円を確実に受け取ることができ、保障や受け取り時期の確実性も確保されます。
判断材料となる3つのチェックポイント
- 残りの支払い総額と満期時の受取額の差:受け取れる利回りが0.5%以下なら定期預金と大差はない
- 途中解約による保障の消失:万が一の際の保障もなくなる点は慎重に
- 現金化のタイミング:大学入学前の大きな支出タイミングに合わせて受け取れるか
このように「今解約して定期に預け替えることで得られる金利と、保険満期時の総受取額の差」を比較することがカギになります。
実例:金利0.3%と学資保険の比較
例1: 残り支払い額:140万円、定期金利0.3% → 5年後の利息は約21,000円
例2: 学資保険継続 → 300万円受取(現状のまま)
受け取りの合計金額で見れば、多少の金利では学資保険の優位性は崩れません。しかも保険には「契約者死亡時の免除」や「非課税枠」がある場合もあるため、単純な利回り比較では不十分です。
まとめ:長期目線と目的を考えた選択を
現在の学資保険を解約して定期預金に乗り換えるという選択肢は、金利上昇局面において一定の魅力があります。しかし、解約による保障喪失や、今後の生活設計の柔軟性を犠牲にすることにもつながります。
学資保険を続けるべき人:確実に教育資金を確保したい人、金利や運用に不安がある人
定期預金へ切り替えるべき人:高金利の商品を見つけた人、保障より流動性を重視する人
判断に迷う場合は、金融庁の無料相談窓口や、FP(ファイナンシャル・プランナー)への相談を活用しても良いでしょう。
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