学生のアルバイトにおいて、「扶養内で働く」という言葉はよく耳にしますが、実際のところどのラインを超えると税金や社会保険の負担が発生するのか、正確に理解している人は少なくありません。特に法改正があった2024年度以降は、控除や保険加入の条件も変化しており、正しい知識が必要です。
扶養にまつわる3つの壁:106万円・130万円・150万円・160万円
学生アルバイトが知っておくべき「壁」は複数あります。以下は2024年以降の主な目安です。
- 住民税の壁:年収100万円(自治体により異なる)
- 所得税の壁:年収103万円
- 社会保険の壁:年収106万円または130万円
- 配偶者控除・扶養控除の壁:150万・160万円
これらは単に一律ではなく、「学生かどうか」「勤務先の条件」「親の保険や税金に影響があるか」など複数の要因により適用が異なります。
106万円の壁とは何か?社会保険加入のボーダーライン
106万円の壁とは、パート・アルバイトの収入が年収106万円以上になると、社会保険(厚生年金・健康保険)への加入義務が発生するラインです。
ただし、すべての学生が対象になるわけではありません。以下の条件すべてを満たすと加入が必要です。
- 週20時間以上働いている
- 月収が88,000円以上
- 勤務先が従業員101人以上
- 雇用期間が2ヶ月超
- 学生でないこと(例外あり)
つまり、通常の大学生アルバイトであれば106万円を超えても「社会保険加入の対象外」であることが多く、130万円を超えるまでは親の扶養のまま社会保険料が発生しないケースが一般的です。
160万円の壁と扶養控除・配偶者特別控除の関係
160万円のラインは、扶養控除の対象となるか否かを左右する「所得制限」として知られています。これは主に、親の配偶者控除や扶養控除に影響するもので、子ども自身の税負担とは直接関係しないことが多いです。
所得が160万円を超えると、親の所得税軽減額が減るまたは適用されなくなるため、世帯全体での手取りが下がる可能性があります。
誤解されやすい点:106万円超えたら全員が社会保険加入ではない
106万円を超えると社会保険に必ず加入しなければならないというのは一部誤解です。前述の通り、加入対象は「勤務時間」「事業所の規模」「雇用期間」「学生かどうか」など複数の条件により判断されます。
たとえば。
例1: 大学生・アルバイト・月収9万円・週15時間・従業員300人→加入対象外
例2: フリーター・月収9万円・週25時間・従業員300人→加入対象
したがって、単純に「年収106万円を超えたら保険料を払う」とは限らないのです。
住民税・所得税がかかるライン
住民税は地域によって非課税限度額が異なりますが、おおむね年収100万円を超えると住民税が課税される可能性が出てきます。また、所得税は年収103万円を超えると課税対象になります。
ただし、勤労学生控除(27万円)が適用されると、所得税の課税対象額が130万円超までは非課税になるケースもあります。申請を忘れずに行いましょう。
まとめ:正しい扶養の理解で節税と安心を両立しよう
扶養内で働く学生にとって、「106万円」「130万円」「160万円」のラインはそれぞれ違った意味を持っています。特に2024年以降は法改正により制度がより複雑化しているため、自身の働き方と収入の見通しを把握することが大切です。
ポイント:
- 学生は基本的に106万円を超えても社会保険加入対象外
- 住民税は100万円前後、所得税は103万円以上から
- 扶養控除に影響するのは130万円・150万円・160万円
- 働き方と扶養の関係は事前に家族と話し合っておくと安心
迷ったときは税務署や社会保険事務所に相談するのもひとつの手です。
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