突然の長期入院。公的保険以外に頼れる保障がないと不安になるものです。実は高額療養費制度以外にも、健康保険には医療費や生活費の負担を軽減できる制度が複数存在します。
高額療養費制度で医療費の自己負担を抑える
公的医療保険には、ひと月に支払う医療費の上限を定める「高額療養費制度」があります。上限額は年齢・所得によって異なりますが、一般的な収入の方であれば約8〜9万円が目安です。
たとえば100万円の医療費が発生しても、実際の自己負担は数万円で済むケースがほとんど。申請から2〜3か月後に払い戻しが行われます。
事前に申請すれば立替なしで治療できる「限度額適用認定証」
高額療養費は後払いですが、「限度額適用認定証」を事前に取得しておけば、病院窓口での支払いが自己負担限度額までで済むようになります。
健康保険証を発行している組合や協会けんぽへ申請すれば、1週間ほどで発行されます。長期入院の予定があれば早めの手続きをおすすめします。
生活費を支える「傷病手当金」とは
病気やケガで会社を休んだとき、給与の支給がない場合には「傷病手当金」が申請できます。条件を満たせば、月給の約2/3相当が最長1年6ヶ月支給されます。
支給条件は以下の通りです。
- 健康保険に加入している
- 業務外の傷病で働けない
- 連続する3日間を含む4日以上の休業
- 会社から給与が支払われていない、または一部のみ
申請は会社と医師の書類が必要です。提出は勤務先経由または健康保険組合へ。
付加給付制度や医療費補助もある
会社が加入している健康保険組合によっては、「付加給付制度」がある場合も。これは高額療養費制度に上乗せしてさらに自己負担分を補助する制度で、実質の自己負担が2万円台で済むケースもあります。
また、企業によっては民間医療保険や団体保険に加入していることもあるため、入院給付金が支給される場合もあります。勤務先の総務や保険担当に確認を。
その他の支援制度
・自治体によっては、医療費助成や交通費補助などの独自制度が用意されています。
・生活が困窮してしまった場合は、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付も検討できます。
また、子育て中の家庭であれば、児童手当の加算や特別給付制度の確認もおすすめです。
まとめ:手続きを怠らず制度を活用しよう
民間保険に加入していなくても、健康保険の各種制度を正しく使えば医療費も生活費もある程度カバー可能です。
- 医療費:高額療養費制度+限度額適用認定証
- 生活費:傷病手当金+会社独自の制度
- その他:付加給付・福祉貸付・自治体支援
困った時こそ、情報と制度を知っているかどうかが家計を左右します。各制度は申請が必要なので、忘れずに手続きを進めましょう。
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