年俸1億円と聞くと、夢のような金額に感じるかもしれませんが、そのすべてが手元に残るわけではありません。所得税や住民税、社会保険料などが引かれた後の手取り額は、実際にはかなり減少します。この記事では、プロ野球選手が年俸1億円を得た場合の手取り額について、最新の税制に基づいて具体的に解説します。
年俸1億円の課税所得はどのくらい?
年俸1億円のうち、全額が課税対象になるわけではありません。まず、給与所得控除が適用されます。給与所得控除は2024年現在、収入が850万円を超えると一律195万円となるため、1億円 – 195万円 = 9,805万円が課税所得のベースになります。
ここからさらに、基礎控除(48万円)や社会保険料控除などが差し引かれますが、詳細は次のセクションで解説します。
プロ野球選手も加入する社会保険とは
プロ野球選手は多くが「日本プロ野球選手会」に属しており、企業に所属する一般の会社員とは保険制度が異なる点もあります。ただし、概ね以下のような社会保険料が発生します。
- 健康保険料:約9.15%
- 厚生年金保険料:約18.3%(本人負担分は約9.15%)
- 雇用保険料:原則0.6%程度
仮に健康保険と厚生年金の合計で年俸の約18%程度が引かれるとすると、約1,800万円が社会保険料として控除されます。
所得税・住民税の税率と計算
課税所得が数千万円になる場合、所得税は最大税率の45%(復興特別所得税含むと45.945%)が適用されます。また、住民税は一律10%が加算されます。
仮に控除後の課税所得を9,000万円と仮定した場合の税額は以下のようになります。
- 所得税:約3,800万円
- 住民税:約900万円
この2つで約4,700万円程度が引かれることになります。
年俸1億円の手取りシミュレーション
項目 | 金額(概算) |
---|---|
年俸 | 1億円 |
社会保険料 | 約1,800万円 |
所得税 | 約3,800万円 |
住民税 | 約900万円 |
手取り額 | 約3,500万円 |
以上のように、年俸1億円でも手取りは約3,500万円前後に収まる可能性が高いことがわかります。
実際の手取り額は選手ごとに異なる
実際の手取り額は、選手の契約内容、所属球団の制度、扶養家族の有無などによって大きく異なります。また、遠征手当や報奨金などは年俸に含まれていないこともあり、収入全体で見ると変動もあります。
一方で、税金対策として節税制度(ふるさと納税、小規模企業共済、NISA等)を積極的に活用している選手も多く、資産形成をしっかり行っている例も見られます。
まとめ:高年俸でも手元に残る額は意外と少ない
年俸1億円のプロ野球選手でも、税金や保険料を差し引くと手取りは3,500万円前後となるのが一般的です。高収入には高額の税負担が伴うため、しっかりとした資産運用と税務知識が求められます。
夢のような金額に見える「1億円」も、現実的に見ると多くが税金として差し引かれているという点を理解し、野球選手だけでなく一般の方も参考にしたい所得と税金の関係です。
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