病気やけがで仕事を休むことになった場合、健康保険に加入していれば「傷病手当金」を受け取れる可能性があります。しかし、その支給額について「基本給の3分の2」と理解している方も多いようです。この記事では、傷病手当金の正しい支給額の計算方法と注意点について、わかりやすく解説します。
傷病手当金の支給額の基本ルール
傷病手当金は、「標準報酬日額の3分の2」が原則です。ここでいう標準報酬日額とは、過去12か月間の標準報酬月額の平均を30で割った金額のことです。つまり、基本給だけでなく、社会保険料算出に使われる交通費や各種手当も含まれるのがポイントです。
たとえば、標準報酬月額が30万円の場合、標準報酬日額は30万円 ÷ 30 = 1万円。支給額はこの3分の2なので、1日あたり約6,667円が支給されます。
「基本給の3分の2」とは限らない理由
よく「基本給の3分の2が支給される」と誤解されがちですが、実際は基本給だけでなく、残業代・通勤手当・住宅手当などを含む総額ベースで算定されることが多いため、人によっては想像より多い・少ないと感じることがあります。
また、支給額は「過去の平均収入」をベースにしているため、繁忙期や閑散期などで月収が変動する人は特に差を感じやすいです。
支給対象となる条件と期間
傷病手当金を受け取るためには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
- 業務外の病気やケガであること
- 連続して3日間以上仕事を休んでいること(待期期間)
- 休業4日目以降も労務不能であること
- 給与の支払いがない、または傷病手当金よりも少ない場合
支給期間は最長1年6か月で、必ずしも連続して受給する必要はありません。
計算例:実際の支給額を試算してみよう
例:標準報酬月額が28万円の場合
項目 | 計算 | 金額 |
---|---|---|
標準報酬日額 | 280,000 ÷ 30 | 9,333円 |
傷病手当金日額 | 9,333 × 2/3 | 6,222円(※小数点以下切り捨て) |
このようにして、1日あたり6,222円が支給され、1か月(例えば20日間休業)の場合は約124,440円となります。
申請時の注意点とアドバイス
傷病手当金の申請は、会社・医師・本人の記入が必要な書類を提出する必要があります。また、給料の支払い証明や休職証明が求められる場合もありますので、事前に会社の総務や健康保険組合に相談しておくとスムーズです。
特に自営業の方や国民健康保険に加入している場合は制度の対象外となるため、別の支援制度を検討する必要があります。
まとめ:正しい理解で安心して制度を活用しよう
傷病手当金は「基本給の3分の2」ではなく、「標準報酬日額の3分の2」が正確な支給額です。思ったより支給額が多い・少ないと感じるのは、制度の仕組みを知らないことが原因かもしれません。
正しい情報を元に、必要な書類と条件を整えたうえで早めの申請を心がけましょう。
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