将来の年金と老後資金について、どれだけ準備すれば安心かを考えることは、働く世代にとって非常に大切なテーマです。今回は、年収300万円で40年間働いた場合に受け取れる年金額や、老後に月16万円を確保するために必要な資金の考え方について、具体的に解説します。
国民年金と厚生年金の違いを理解しよう
日本の年金制度は「2階建て構造」です。基礎となるのが全国民共通の国民年金(老齢基礎年金)、会社員などが上乗せで加入するのが厚生年金です。2024年度の国民年金満額支給額は月約66,250円(年797,000円)となっています。
厚生年金は給料に応じて保険料と受給額が決まる「報酬比例」の制度で、長く多く払うほど将来もらえる額が増えます。国民年金だけでは老後資金に不安があるため、多くの方が厚生年金やiDeCo、NISAなどで資産形成をしています。
年収300万円・40年間勤務した場合の厚生年金見込み額
仮に25歳から65歳までの40年間、年収300万円(月25万円)で働き続けた場合、保険料負担と受給額は以下のように試算できます。
■月の厚生年金保険料(本人負担分)
月給25万円の場合、保険料はおおよそ月23,000円前後。年間約28万円、40年で約1,120万円の自己負担となります(※会社と折半なので実際の納付額は約2,240万円)。
■老齢厚生年金の受給見込み
報酬比例部分は概算で月9〜10万円程度。基礎年金と合わせると月15〜16万円程度が見込まれます。
※実際の額は加入期間・標準報酬・物価変動・制度改定などにより変動します。
105歳まで生きる場合の必要資金とは
65歳から105歳までの40年間を想定し、月16万円の生活費を確保したいとすると、以下のような計算になります。
- 必要額:16万円 × 12ヶ月 × 40年 = 約7,680万円
- 年金で賄える額(月15万円と仮定):15万円 × 12ヶ月 × 40年 = 約7,200万円
- 不足分:約480万円(40年で見た場合)
つまり、年金だけでほぼ生活費はまかなえる計算ですが、物価上昇や医療費・介護費の備えを考慮すると、現実には追加の備え(貯蓄や運用)は欠かせません。
老後に備える積立プランの例
仮に不足分の480万円を、25歳から65歳までの40年間で積み立てるとすると、月に必要な貯蓄額は次のようになります。
- 単純積立:480万円 ÷ 480ヶ月 = 月1万円
- 利回り3%で積立運用:月約6,000円〜7,000円でも達成可能
iDeCoやつみたてNISAを活用すれば、税制優遇を受けながら効率的な資産形成が可能です。
厚生年金の受給額を確認する方法
実際の受給額は「ねんきんネット」で自分の年金記録を確認することで把握できます。これにより、将来の受給額に対する具体的な試算が可能になります。
まとめ:厚生年金+少額の積立で老後は安心できる?
年収300万円で40年間働くと、厚生年金と国民年金で合計月15〜16万円の受給が見込まれます。これは最低限の老後生活を支えるには十分に近い額ですが、医療費やゆとりある生活を考えるなら、プラスで資産形成が必要です。
若いうちからのコツコツとした準備が、将来の安心を築くカギとなります。無理のない範囲で、まずは月5,000円〜1万円からでも積立を始めるのがベストです。
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