アルバイトをしている大学生にとって、「扶養の壁」と呼ばれる年収ラインは、自分にも親にも影響する重要なポイントです。2023年から2024年にかけて制度の変更があり、「103万円の壁」や「130万円の壁」の意味合いが少しずつ変わってきました。この記事では、学生が働く際に知っておくべき扶養の年収ラインの仕組みや、新しい基準についてわかりやすく解説します。
まずは基礎知識:扶養には2種類ある
扶養には「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。税金の控除に関わるのが前者、健康保険や年金の保険料負担に関わるのが後者です。
- 税制上の扶養(103万円):年収が103万円以下であれば、親は「扶養控除」を受けられ、税金が安くなります。
- 社会保険上の扶養(130万円):年収が130万円以下であれば、本人は親の健康保険の扶養に入ることができ、保険料を支払う必要がありません。
103万円の壁と130万円の壁の違い
「103万円の壁」はあくまで所得税に関する基準で、これを超えると扶養控除が使えなくなり、親の税負担が増えます。一方で「130万円の壁」は社会保険料の支払い義務が発生する基準です。
たとえば、アルバイトで年収110万円だと、税制上の扶養から外れることになりますが、130万円以下なら社会保険の扶養は維持される可能性があります。
2024年から変わったこと:「130万円の壁」緩和措置
2024年度から、年収が130万円を少し超えても、一時的な超過であれば社会保険の扶養を継続できるというルールが導入されました。これにより、学生アルバイトやパートが繁忙期に多めに働いたとしても、ただちに扶養から外されるリスクが低くなっています。
ただし、「恒常的に超えている」と見なされると、保険料の支払いが必要になるため注意が必要です。
親も自分も損をしないラインとは?
親の税金も安く、自分も保険料を支払わないで済む年収ラインは、「103万円以下」が最も無難です。ただ、もっと働いてもよい場合は、「130万円未満」を目安にするとよいでしょう。
たとえば。
- 週3回・1日5時間・時給1,200円 → 月約72,000円 × 12ヶ月 = 約86万円
- 週5回・1日5時間・時給1,200円 → 月約120,000円 × 12ヶ月 = 約144万円 → 扶養超過のリスク大
自分の働き方に合った計算をしておくことが大切です。
気をつけるべき落とし穴
年収のカウント方法は「支払基準」であり、たとえば12月に働いた分の給料が翌年1月に支払われると、その年の収入としてカウントされます。この点を見落とすと、意図せず扶養を外れてしまうケースがあります。
また、交通費も支給方法によっては年収に含まれることがありますので、勤務先の給与明細の内訳をよく確認しましょう。
まとめ:年収ラインは「103万円未満」が安全だが、状況に応じて判断
アルバイトをする大学生にとって、「103万円」と「130万円」の年収ラインは大きな意味を持ちます。親の扶養控除や自分の保険料負担の有無に関わるため、自分がどこまで働くかを考える際には、制度の仕組みを正しく理解しておくことが重要です。
2024年の緩和措置により、130万円を少し超えても即アウトというわけではありませんが、安全策としては103万円以下を目安に働くのがベストです。
コメント