資格喪失後の保険証使用と返還請求の時効|医療費返納はいつまで遡るのか?

社会保険

会社を退職後、健康保険証の返却を忘れていたり、退職日を誤って認識していたことで、資格喪失後に医療機関を受診してしまうケースは少なくありません。こうした場合、後になって医療費の返還請求が来ることがあります。では、その請求に対する時効はどのくらいなのでしょうか?この記事では、健康保険の資格喪失後の利用に関する制度や、返納義務の時効について詳しく解説します。

健康保険証の資格喪失とは何か

健康保険証は、会社を退職すると原則その日をもって使用資格を失います。資格喪失日は、退職日と一致するのが一般的です。退職後も誤って保険証を使い続けると、その期間の医療費は「不正利用」と見なされ、後日請求される可能性があります。

特に、健康保険組合や協会けんぽでは資格喪失後の使用について厳密なチェックを行っており、後から発覚すると医療費の全額を自己負担するよう請求されることもあります。

返還請求の時効は何年か?

健康保険法における時効は原則として「2年」です。これは保険給付に関する請求権の時効であり、不正に受けた保険給付についても、原則2年以内に返還請求がなされなければ時効となる可能性があります。

ただし、時効が中断する条件(請求の意思表示や裁判手続きなど)もあり、6年経過していても請求が有効になることもあります。たとえば、すでに以前に請求が行われていたり、文書送付によって時効が中断していた場合です。

事例:6年前の診療費の返還を求められたケース

たとえば、2018年に資格を喪失したにもかかわらず、その後に保険証を使って医療機関を受診していた場合、2024年に入ってからその返納請求が届いたとします。原則では2年の時効があるものの、健康保険組合がその間に再三通知や調査を行っていた場合は、時効が成立しない場合もあるのです。

このような請求があった場合、過去のやり取りの記録や通知書面の内容を確認し、時効が中断していないかをチェックする必要があります。

返納請求を受けた場合の対応方法

もし返納請求が届いた場合、まず以下の点を確認しましょう。

  • 資格喪失日と受診日が本当に重なっているか
  • 健康保険組合からの請求の根拠(診療報酬明細など)
  • 過去に通知や督促があったか(時効中断の可能性)

それらの確認後に、支払いに応じるかどうかを判断することになります。時効が成立している可能性があるなら、専門家(弁護士や社会保険労務士)に相談するのも一つの方法です。

保険証の取り扱いミスを防ぐには

退職時には、健康保険証は必ず会社に返却することが基本です。返却を怠ると、後から思わぬトラブルに発展することがあります。

また、退職後すぐに国民健康保険や次の就職先の健康保険に加入し、古い保険証は破棄または返送するようにしましょう。

まとめ:時効はあるが、中断の可能性もあるので慎重に確認を

健康保険証の資格喪失後に医療機関を利用した場合、原則2年の時効があるものの、時効が中断していると請求が有効になるケースもあります。突然の返納請求に困惑することもあるかもしれませんが、落ち着いて事実を確認し、適切に対応することが大切です。

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