相続税と土地売却価格のギャップは問題?申告評価額と実勢価格の違いを徹底解説

税金

相続した土地を売却する際、申告時の評価額と実際の売却価格に大きな差が出ることは珍しくありません。特に都心部や住宅地のように地価が高騰しているエリアでは、市場価格が路線価の2倍〜3倍になることもあります。本記事では、相続税の申告評価と売却時の価格差があっても問題ないのか、追徴課税のリスクや注意点を中心に解説します。

路線価による土地評価は適法な手続き

相続税の申告では、路線価方式(または倍率方式)によって土地の評価を行います。路線価は国税庁が毎年公表しており、公平な課税を行うために使用される基準です。市場価格(実勢価格)とは異なるため、相続税申告で路線価ベースの評価額が市場価格より低くなるのは通常のことです。

たとえば、世田谷区などの地価が高い地域では、相続税評価額が売却価格の1/3程度になるケースもありますが、これは税務署も想定している範囲内です。

売却による差額は譲渡所得として課税される

土地を売却した際に得た利益(=売却価格 − 取得費 − 諸経費)は「譲渡所得」として課税対象になります。ここで重要なのが「取得費」の扱いです。

相続によって取得した土地の取得費は、原則として被相続人の取得費を引き継ぎます。取得費が不明な場合は「売却価格の5%」を取得費とすることが可能ですが、これでは譲渡所得が高額になり、所得税・住民税が増えてしまいます。

このようなときは、可能な限り被相続人が購入した当時の売買契約書や領収書を探し、取得費の証明を行うのが節税につながります。

相続税と譲渡所得税の関係と注意点

相続税の申告評価額と売却価格に差があっても、追徴課税の対象には基本的になりません。なぜなら、相続税は評価額に基づいて課税され、売却益には譲渡所得税が別途課されるからです。

ただし、税務署が評価額が著しく低すぎると判断した場合(たとえば不動産鑑定評価や現地調査と著しく乖離している場合)には、調査が入る可能性もあります。そのため、評価にあたっては税理士などの専門家の意見を踏まえて適切に算出することが重要です。

譲渡所得には軽減税率が適用される場合も

相続で取得した土地を売却した場合、「相続空き家の3000万円特別控除」や「所有期間による軽減税率」が適用されることがあります。所有期間が5年を超えると、長期譲渡所得として税率が低くなります。

ただし、相続時点からではなく、被相続人が所有していた期間も合算して計算する点がポイントです。したがって、60年間親が住んでいた土地なら、ほぼ確実に長期譲渡所得の条件を満たします。

実例:世田谷区の土地を相続して売却したケース

ある相続人は、路線価に基づいて1億円の評価で相続税を納付し、その後市場価格3億円で売却しました。相続税には問題なく対応済みで、売却により得た利益に対して譲渡所得税を納税しました。このようなケースでも、税務署からの指摘はなく、申告と納税が適切であれば追徴課税のリスクはありませんでした。

まとめ:申告評価と実勢価格の差は合法、重要なのは適切な申告と納税

相続税申告の評価額と土地の実際の売却価格に差があっても問題ありません。路線価評価は税務上の標準的な方法であり、売却時には譲渡所得として適正に税務処理されれば問題ないのです。

不安がある場合は、国税庁の公式情報や税理士への相談を通じて、より安心して手続きを進めましょう。

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