子供名義の通帳に祝い金や贈与金を積み立てている家庭は少なくありません。しかし、このような貯金が後に「名義預金」として認定され、思わぬ税務上のトラブルに発展するケースもあります。本記事では、名義預金の定義から、実際に問題となるケース、対処法までを詳しく解説します。
名義預金とは?その定義と税務上の意味
名義預金とは、名義人と実際の所有者が異なる預金のことを指します。たとえば、子供名義で作られた通帳に、親や祖父母が管理・出金可能な形でお金を預けていた場合、その預金は税務上「親や祖父母の財産」とみなされる可能性があります。
名義預金と判断されると、相続時に相続財産に加算され、結果として相続税の課税対象になる場合もあります。
贈与として成立するには何が必要か
贈与として適切に扱われるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 受贈者(子供など)が贈与の事実を認識している
- 受贈者が通帳や印鑑を管理している
- 贈与契約が明確(可能であれば書面)である
子供が幼少期の場合は、親が代理人として通帳を管理するのは仕方ありませんが、それでも記録として贈与の意思や出所、使用目的を明確にしておくことが肝心です。
名義預金とされる具体的なリスク
名義預金と判断されると、以下のようなリスクがあります。
- 相続時に過去の預金が贈与と認められず、名義人ではなく親や祖父母の資産と判断される
- 結果として相続税の追徴課税が発生する
- 税務署に過去の預金記録や通帳管理履歴を問われる
特に、通帳や印鑑を親が保管し続けている場合や、子供がそのお金の存在を知らない場合はリスクが高くなります。
正しく子供の資産として管理するためにできること
名義預金とならないようにするには、以下の対応が有効です。
- 贈与契約書を作成し、贈与の事実を明確に記録する
- 子供の成長に応じて、口座やカード、印鑑の管理を少しずつ移行する
- 贈与金の用途や履歴を記録するノートやエビデンスを残す
年間110万円を超える贈与については、贈与税の申告義務があるため、金額にも注意が必要です。
ゆうちょの通帳を勝手に作れた理由と法的視点
祖父母が付き合いのあるゆうちょ職員を通じて、孫の通帳を作成できたとしても、これはあくまで「便宜上」可能だっただけです。法的には、本人確認や親の同意が必要であり、あいまいな状態で通帳が作成されていた場合、税務調査で突っ込まれる可能性があります。
可能であれば、今後は口座の作成経緯や管理状況を明文化し、贈与の履歴を明確にする対策を行いましょう。
まとめ:名義預金を避けるには記録と管理が鍵
子供の将来のために積み立てているお金も、管理が曖昧だと名義預金として認定され、税務リスクが発生する可能性があります。通帳や印鑑の管理、贈与契約の明確化、金額の記録などを行うことで、リスクを回避しつつ、子供の資産として安全に運用することができます。
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