収入が高いほど多く貯金できる──これは一見すると当然のように思えます。しかし、年収1000万円と400万円では手取りや支出構造も大きく異なるため、単純に差額を貯蓄できるとは限りません。この記事では、税金や生活コスト、ライフスタイルを考慮しながら、実際にどれほどの貯蓄差が生まれるのかを具体的に検証していきます。
年収別の手取り額の違い
年収400万円の場合、所得税・住民税・社会保険料などを差し引いた手取りはおおよそ約300万円前後となります。一方、年収1000万円の手取りは約700万円程度が一般的です(扶養や控除内容により変動)。
つまり、手取りベースで比較すると約400万円の差が生まれます。月額で約33万円の手取り差となりますが、ここから実際の生活費やライフスタイルが関係してきます。
支出構造の違いに注目
高年収者は住居費や教育費、交際費などが高くなる傾向があります。年収が高くなると生活レベルも上がる「ライフスタイル・インフレーション」により、思ったより貯金に回せないという声もあります。
たとえば、年収400万円の人が毎月10万円貯金できるとすると年間120万円、対して年収1000万円の人が月20万円貯金できたとしても、年間240万円で貯蓄効率は2倍に留まります。
税金の影響と累進課税の壁
日本の所得税は累進課税制度のため、年収が高くなるほど税率も上がります。特に900万円を超えると33%、1800万円超で40%を超えるため、増えた収入がそのまま自由になるとは限りません。
これに加え、児童手当や医療費控除の対象外になる場合もあり、制度上の恩恵が少なくなるケースも出てきます。
生涯の貯蓄差をシミュレーション
仮に年収400万円の人が毎年80万円、年収1000万円の人が毎年200万円ずつ30年間貯蓄できた場合、差額は以下のようになります。
年収 | 年間貯蓄 | 30年合計 |
---|---|---|
400万円 | 80万円 | 2400万円 |
1000万円 | 200万円 | 6000万円 |
この試算では3600万円の差となり、生活コストが低く抑えられる高年収者であれば、差額はさらに開く可能性もあります。
貯蓄だけでなく「投資リターン」の差も広がる
高収入層は投資に回せる資金が多く、資産運用による複利効果も期待できます。例えば、年間200万円を年利5%で運用した場合、30年後には約1億300万円になります。一方、80万円を同じ条件で運用しても約4100万円にとどまり、約6200万円の差に広がります。
このように「貯金額」以上に「運用環境」の違いが生涯資産形成に大きく影響するのです。
まとめ:収入差以上に「行動差」が貯蓄格差を生む
年収1000万円と400万円では、確かに生涯で数千万円〜最大で5000万円以上の貯蓄差が生まれる可能性があります。しかし、その差を生み出すのは収入の多寡だけでなく、支出管理・投資判断・生活設計といった要素の積み重ねです。
たとえ年収が控えめでも、支出を抑え、投資を活用すれば資産を築くことは十分に可能です。重要なのは、収入に関わらずお金との付き合い方を見直すことなのです。
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