長年勤めた職場を健康上の理由で退職する場合、経済面の不安から失業保険(基本手当)の受給可否が気になる方も多いでしょう。特に、直近で傷病手当金を受け取っていた場合、どのような扱いになるのかも気になるポイントです。本記事では、失業保険と健康状態との関係、傷病手当金と受給額の関係についてわかりやすく解説します。
失業保険を受給するための基本条件
失業保険を受給するには、「働く意思」と「働ける能力」があることが前提です。そのため、退職時点で病気やケガにより労働不能である場合は、すぐに基本手当の支給対象にはなりません。
ただし、後述する「受給期間延長申請」を行えば、療養後に受給資格を有効にできます。なお、「違う業種であれば働ける」という状況であれば、条件を満たす可能性が高いです。
傷病手当金と失業保険の違いと関係
傷病手当金は、健康保険から支給されるもので、病気やケガで仕事を休んだ場合に、給与の一部を保障する制度です。一方、失業保険は雇用保険から支給されるもので、離職後の生活を支えるための制度です。
重要なのは、傷病手当金を受給していた期間は、失業保険の受給資格期間の計算には含まれないという点です。しかし、直近2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上あれば問題なく受給資格は認められます。
傷病手当金の支給額は失業保険の計算に影響する?
失業保険の支給額は、退職前6ヶ月間の「賃金日額」に基づいて算出されます。ここでいう「賃金」とは、給与として実際に支払われた金額を指します。
そのため、傷病手当金は賃金に含まれず、支給額の計算には影響しません。あくまで働いた月の給与を基に算定される点を理解しておきましょう。
受給期間延長の制度を活用しよう
退職後にすぐ働けない場合でも、最大で4年間、失業保険の受給資格を延長できる「受給期間延長申請」があります。この申請を行っておけば、回復後にハローワークへ行き、求職活動を始めたタイミングから失業保険の受給が可能です。
申請には退職日の翌日から30日経過後、さらに1ヶ月以内に提出が必要です。医師の証明書なども必要になるため、準備は早めに行いましょう。
体調不良でも業種を変えれば働ける場合の取り扱い
例えば、体力を使う職種では働けないが、事務職であれば問題ないというケースでは、ハローワークにて「就労可能」と認められる可能性が高くなります。医師の意見書を求められることもあるため、主治医と相談しておくと安心です。
求職活動を行い、ハローワークが就労可能と判断すれば、通常通り失業保険の受給対象となります。
まとめ:早めの準備と正しい手続きで安心を
傷病手当金を受給していた後でも、就労可能な状態であれば失業保険は受給できます。ただし、健康状態や職種の変更など、状況によって取り扱いが異なるため、事前にハローワークで相談することが重要です。
退職が決まった段階で、傷病手当金・失業保険・延長手続きについての情報を集めておき、スムーズな受給準備を整えましょう。
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