旧NISA(少額投資非課税制度)で購入した株式が5年の非課税期間を終えると、翌年には特定口座などの課税口座に移されます。保有している銘柄が赤字の場合、売却タイミングによって税金がかかるかどうか、気になる方も多いのではないでしょうか。
NISAの非課税期間終了後の扱いとは?
旧NISAの非課税期間は購入から5年間です。期間終了時に売却しない場合、そのまま課税口座(特定口座や一般口座)に移管されます。このときの移管価格は、NISA口座での購入価格ではなく、移管時点の時価になります。
ポイント:課税口座では、移管時の時価を新たな取得価格として今後の損益が計算されます。つまり、赤字状態でも移管時点の価格でリセットされるのです。
赤字銘柄に税金はかかるのか?
NISA口座内での取引であれば、たとえ利益が出ていても非課税です。逆に損失が出ても、他の利益と損益通算はできません。
ただし、課税口座へ移管された後に売却しても、その移管時点の価格より売却価格が下回れば当然損失となり、税金は発生しません。
売却タイミングによる影響と戦略
損益の観点で見ると、移管前に赤字の状態で売却しても、NISAの枠内で損益通算ができないため、損失の税効果は得られません。一方、移管後に売却すれば課税口座で損失が確定され、他の株式売却益と通算できます。
実例:購入価格50万円の株が今40万円に下落中。NISA内で売却しても損失は活かせず、移管後に売れば「取得価額40万円」となり、それより下がれば課税口座で損失が計上可能です。
来年売るのは損?今年中が得?
来年に課税口座へ移管される銘柄を、今すぐ売却するかどうかは戦略次第です。売却しても損失控除できないなら、移管してから課税口座で損失計上する方が有利なことも。
ただし、将来にわたってその株価がさらに下がるリスクもあるため、相場動向や資金ニーズを考慮して判断する必要があります。
確定申告と損益通算の考え方
課税口座で確定した損失は、確定申告により過去3年以内の利益と損益通算や繰越控除が可能です。NISAではこれができませんが、特定口座や一般口座で売却した赤字には大きな意味があるのです。
補足:特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合でも、確定申告をすれば損失繰越が可能になります。
まとめ:赤字なら焦って売らなくても損はしない
赤字銘柄がNISA枠から外れると聞くと「今年中に売らなきゃ損」と感じがちですが、必ずしもそうではありません。税金の発生有無は「売却時の価格と移管時の時価」によるため、冷静に判断すれば損は避けられます。
NISAから課税口座への移行と税制の関係を理解した上で、無駄な税負担を避けたスマートな資産運用を目指しましょう。
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